本記事は、武田拓也氏の著書『金融機関で学んだFPが正しく伝える 投資でお金が増える基本の仕組み』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

株式投資でのお金の増やし方

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(画像=jirsak/stock.adobe.com)

株式投資では、株式会社の発行する「株式」を購入して、配当金や売買差益を狙います。

配当金収入のことを「インカムゲイン」といいます。株式会社はより良い商品やサービスを提供することで、事業規模の拡大、企業価値の最大化を目指しています。そうして出た利益の一部を、配当金として株主に還元します。

また、売買差益のことを「キャピタルゲイン」といいます。株式投資の魅力のひとつは、インカムゲインとキャピタルゲイン、どちらのリターンも狙えることです。

なるべくリスクを抑えたいのなら、大きな企業の「大型株」を長期で保有し、配当金や株主優待のインカムゲインを得ながら、コツコツお金を増やしていきましょう。

短い期間でお金を増やしたい場合は、株を売買することで利益を出します。優良業の株はもちろん、これから値上がりが期待できそうな「グロース銘柄(成長株)」や、値動きが激しい「小型株」も購入します。

そして、株価が上がったところで手放して、差益を得ます。そこで生まれた利益を元手に、さらに売買を繰り返すことで、自身の資金を成長させていきます。

そのほかに株主優待が得られるのも、株式投資ならではの特徴です。

配当金がいつ、どのくらいの金額が出るのかといった情報は、『会社四季報』(東洋経済新報社/以下、四季報)に掲載されています。四季報は年に4回発行されていて、ほかにも企業の特色や業績、財務内容、株価の動きなどの情報が網羅されています。

証券会社によっては、口座を開設すればインターネット上で四季報を閲覧できるサービスを提供するところもあります。

株は基本的に100株単位で購入できます。価格は企業によって変わりますが、10万円以下で購入できる銘柄もあります。以前は1,000株単位からだったので、ハードルがずいぶんと下がりました。

Check
1株から購入できるSBI証券やLINE証券も人気です。ただし、保有している株数が100株未満の場合では株主優待を受けることはできません。また株主総会への参加資格も得られません。

株式投資のメリットとリスク

株式投資には、以下のようなメリットやリスクがあります。長期保有したい人、短期売買をしたい人、どちらにも当てはまるので、チェックしてみてください。

メリット(1)株主優待を得られる

日本株を買うと、配当金とは別に投資した企業の商品やサービスの株主優待を受けられる場合があります。内容はお米やギフト券、産地の特産品などさまざまです。配当金に加えて株主優待を狙って株を取得する人もたくさんいます。

私も、大手スーパーのイオン株を保有しています。系列スーパーで買い物をすると、購入金額の3〜7%がキャッシュバックされます。還元率は、株の保有数によって異なります。また、イオンシネマでは優待価格で映画を観られたり、ポップコーンが無料でもらえたりするので、子供たちは大喜びです。

マクドナルドの株を保有すると、ハンバーガー、サイドメニュー、ドリンクなどの引換券が届きます。吉野家の株主優待は、商品の割引チケットです。ほかには、自社の商品がもらえる化粧品会社や、割引クーポンがもらえるデパート系列の株なども人気です。

インターネットで「株主優待」と検索すると、会社によってどのような優待が受けられるのかがわかる「まとめサイト」がたくさんあるので、参照してみてください。

メリット(2)株主総会に参加できる

株主総会では、その業界の最新情報や会社の方針などを、会社の経営陣がわかりやすく説明してくれます。その場で経営陣に直接質問をすることもできる貴重な機会であり、知識をさらに深めることができます。

参加されない方もいますが、一度は参加してほしいと思います。株主総会は、自社ビルや豪華なホテルで行われることがほとんどです。勉強になるのはもちろんですが、非日常的な空間も魅力的です。お土産がもらえることもあるので、ぜひ足を運んでみてください。

Check
株主優待や配当などの権利が得られる日のことを「権利確定日」といいます。株主優待を受けたり、株主総会へ参加したりするためには、半年に1回もしくは年に1回の「権利確定日」に株を保有しておく必要があります。事前に権利確定日を確認しておきましょう。

リスク:会社が倒産したら価値がなくなる

株式投資は、「外貨預金」「不動産投資」「投資信託」と比較してリスクが高くなります。滅多にないことではありますが、株を購入した会社が倒産してしまったら、そのお金を丸々失うことになります。

私も過去に苦い経験をしたことがあります。株式投資を始めたばかりの頃、ある本を読んで「バリュー投資が良い」ということを知りました。バリュー投資とは、ひと言で言えば本来の企業価値と比較して株価が割安な銘柄に投資をする手法です。

一般的には、PER(=株価収益率)、PBR(=株価純資産倍率)という指標を用いて判断します。本には「この値が低いものに投資すれば良い」とあり、私はそれを鵜呑みにして株を購入しました。

すると、6つ所有していたはずの銘柄がある日5つに減り、しばらくすると「会社更生法適用」という知らせが届きました。会社更生法とは、会社の経営が危なくなった場合などに申請するための法律です。事業に失敗し、企業の再建を予定していることを意味し、事実上の倒産です。株の価値はなくなったも同然です。

当時の私は会社員で、ボーナスの30万円を複数の銘柄に投資していましたが、およそ5万円の損失でした。投資を始めたばかりの頃で、非常にショックを受けました。

もちろん、バリュー投資自体に問題があるのではありません。自分がよく知らない会社の株を買うときには、多角的な分析が必要でした。「もっと勉強しなければ」と痛感した出来事です。その後、倒産しない会社の基準として「有利子負債」がゼロの会社を選ぶことを知りました。

投資を始めたばかりで損が出てしまうと、投資自体が嫌になってしまいかねません。まずは次に説明するような、安定した企業の株を買うようにしましょう。

金融機関で学んだFPが正しく伝える 投資でお金が増える基本の仕組み
武田拓也(たけだ・たくや)
株式会社FAMORE代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会福祉士。兵庫県淡路島出身。関西福祉大学を卒業後、有料老人ホームの管理者、外資系保険会社の外交員、高校教師を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。22歳から始めた投資の経験を生かしてコンサルティング業務に従事しつつ、独立型社会福祉士として成年後見活動やNPOの地域福祉事業にも尽力。現在は大学や事業団体にてセミナーも実施。セミナー実施回数は年間100回以上。成功談と失敗談を交えた話はわかりやすいと定評があり、リピーターも多い。著書に『なぜあの人は「老後のお金」に困らないのか?』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

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