本記事は、井上裕之氏の著書『潜在能力が開花する速聴インプット術』(フォレスト出版)の中から一部を抜粋・編集しています

「頭の回転が速い」人の特徴とは何か?

特徴
(画像=ELUTAS/stock.adobe.com)

速聴によるさまざまな効果を一言で有り体にいえば、「頭の回転が速くなる」となるでしょう。

では、脳のどの領域が「回転」しているのでしょうか。

それは脳の前部分にある「前頭葉」の中です。ちなみに前頭葉は12歳でピークを迎え、その後だんだんと衰えていきます。しかも、老化にともなって最も機能が低下していく部位として知られています。

さて、この前頭葉は、人間の知的能力、身体能力をつかさどる「前頭連合野(前頭前野)」「運動連合野」「運動野」という領域に分かれており、とくに前頭連合野はさまざまな情報を一時的に保存・結合・分割したりして、思考・行動・計画・推論……などをつかさどる、最も重要な役目をする脳の司令塔です。

進化した哺乳類ほど大脳に占める割合が大きくなっており、チンパンジーが17%であるのに対し、人間は29%を占めています。つまり、人間が最も人間らしく生きるための機能といえます。

人間の五感である視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚から入ってきた刺激は、最初に各感覚の感覚野に、そして感覚連合野に伝わって「情報」として認知されます。そして感覚連合野から伝えられた情報が前頭連合野に運ばれます。

そして、この前頭連合野の中に「46野」という領域があります。ここがワーキングメモリをつかさどります。

ワーキングメモリは言葉を理解したり、計算することが主な仕事なので、日常はもちろん、コミュニケーション、感情のコントロール、勉強、ビジネスで頻繁に使われる能力です。いわゆる「頭の回転が速い」というのは、このワーキングメモリが発達していることを指します。

逆にワーキングメモリが弱い人の特性としては、頻繁に忘れ物をしたり、「何度も同じことを聞かないで!」と怒られたり、感情を抑えられずパニックになることが多かったりします。ワーキングメモリの容量が小さいため、情報の処理が間に合わなかったり、どんどん押し出されてしまうことが原因です。

しかし、このワーキングメモリは訓練することで鍛えられることが明らかになっています。大人になっても脳トレをすると新しい神経細胞のシナプスが増えて、神経回路が鍛えられることが知られています。

そのための一番の方法が速聴であり、効果的にワーキングメモリの容量を増やすことができるのです。