主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年3月3日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼2日(木)の為替相場
(1):豪住宅建設許可件数、大幅な落ち込み
(2):ユーロ圏消費者物価指数、前月からわずかに伸びが減速
(3):ECB議事録公表
(4):ドル円、137円台まで上値を伸ばす
(5):ボスティック米アトランタ連銀総裁、発言
▼2日(木)の株・債券・商品市場
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2日(木)の為替相場
期間:2日(木)午前7時10分~3日(金)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪住宅建設許可件数、大幅な落ち込み
豪1月住宅建設許可件数は前月比-27.6%と予想(-7.0%)を超える大幅な落ち込みとなった。
(2):ユーロ圏消費者物価指数、前月からわずかに伸びが減速
ユーロ圏2月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+8.5%と予想(+8.3%)を上回ったものの、前月(+8.6%)からは僅かに伸びが減速した。同時に発表されたユーロ圏1月失業率は6.7%と予想(6.6%)を上回った。
(3):ECB議事録公表
欧州中銀(ECB)は2月理事会の議事録を公表。「景気は想定されていたものよりも底堅いことが判明」など、楽観的な見通しであることを明らかにした。また「過度な金融引き締めへの懸念は時期尚早」との認識が示された。これより前にはラガルドECB総裁が「インフレは依然として高すぎる」とし、今後の金融政策について「50bp(0.50%ポイント)の利上げは依然として選択肢にある」と発言した。
(4):ドル円、137円台まで上値を伸ばす
米新規失業保険申請件数は19.0万件と予想(19.5万件)に反して前週(19.2万件)から減少した。米10-12月期非農業部門単位労働コスト(生産単位当たりの報酬)・改定値は前期比年率+3.2%へと大幅に上方修正された(速報値+1.1%)。米国の雇用ひっ迫があらためて確認されると、米長期金利の上昇とともにドル/円は137.10円前後まで上値を伸ばして前年12月20日以来の高値を付けた。なお、米10年債利回りは一時4.09%付近まで上昇して約4カ月ぶりの高水準を付けた。
(5):ボスティック米アトランタ連銀総裁、発言
ボスティック米アトランタ連銀総裁は「高インフレを考慮すると、米連邦準備制度理事会(FRB)はより多くのことをする必要」とした一方で「夏の中盤から終盤までに利上げ休止あり得る」「3月は25bpの利上げが好ましいが、支持するかはデータ次第」と発言。これを受け、NYダウ平均は一時400ドル超の大幅上昇。しかし米長期金利は小幅に上げ幅を縮めるにとどまった。ドルも利益確定売りなどにやや押されたが下値は限定的だった。