賃上げに活用したい政府支援制度

日本政府は、中小企業の賃上げを後押しするべく補助金や税制措置による生産性向上や価格転嫁の促進などの支援策を講じている。ここでは、中小企業向けの主な日本政府の賃上げ支援制度を紹介していく。

賃上げ促進税制

中小企業向けの「賃上げ促進税制」は、中小企業等が、一定の要件を満たし前年度より給与等の支給額を増加させた場合、雇用者全体の給与等支給額の増加額の15~40%を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できるというものだ。賃上げ率と税額控除の関係は、次の通りである。

【基本】
雇用者全体の給与等支給額を前年度比で1.5%以上増加:増加額の15%を税額控除

【上乗せ分】
・雇用者全体の給与等支給額を前年度比で2.5%以上増加:控除率を15%加算
・教育訓練費を前年度比で10%以上増加:控除率を10%加算

つまり15%の税額控除をベースとし、上乗せ要件を満たすことで控除率が25%、30%、40%のいずれかになる。また適用期間は2年間とされているため、賃上げタイミングを逃さないように注意したい。

  • 法人:2022年4月1日~2024年3月31日までの期間内に開始する各事業年度
  • 個人事業主:2023年および2024年の各年

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金は、厚生労働省が実施している助成金である。労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備などに取り組む中小企業事業主に対して、実施に要した費用の一部を助成するというものだ。具体的には、以下の5つのコースがあり、コースによって適用要件や助成額が異なる。

  • 適用猶予業種等対応コース
  • 労働時間短縮・年休促進支援コース
  • 勤務間インターバル導入コース
  • 労働時間適正管理推進コース
  • 団体推進コース

2023年度からは、各コースの成果目標に加え賃上げを成果目標とすることができるようになった。(団体推進コース以外)常勤労働者数および賃上げ人数、賃上げ割合に応じて助成金上限額が加算される。例えば常勤労働者数が30人以下の中小企業が10人の労働者に対して3%以上の賃上げをした場合、100万円が助成金上限額に加算される。

業務改善助成金

同じく厚生労働省が実施している助成金として「業務改善助成金」がある。これは、生産性向上のための設備投資(機械設備やPOSシステム等の導入)などを行い、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されるというものだ。次のいずれか低いほうの金額が助成額となる。

  • 生産性向上に資する設備投資等にかかった費用に一定の助成率を乗じた金額
  • 助成上限額

助成率は、引き上げ前の事業場内最低賃金により、また助成金上限額は事業場内最低賃金および事業場の労働者人数、引き上げ人数などによって異なる。申請期限は、2024年1月31日とされているため、早めの賃上げ対策が必要となりそうだ。