エンジニアに求められるIT知識以外のスキル

ITエンジニアに求められるのは、システムの開発や運用に関する知識だけではない。他業界と同じように、チームで動くことや顧客対応も必要になるため、実際には以下のようなスキルも求められる。

円滑に業務を進める「コミュニケーション能力」

基本的にITエンジニアは、一つのプロジェクトをチーム全体で進めていく。誰がどの業務を担当するかや、他のシステムとの兼ね合いなどを相談しながら業務にあたるため、どの職種にもコミュニケーション能力が求められる。

中でもシステムエンジニアのような中心人物は、外部(顧客や営業担当者など)と頻繁にやり取りをするので、対外的なコミュニケーションスキルが必須だ。

プロジェクトを正しい方向に導く「マネジメント力」

顧客からの要求をまとめるエンジニアや、チームの中核を担うリーダーには、一定のマネジメント力も求められる。IT関連のプロジェクトには納期があるため、プロジェクトを正しい方向に導くだけではなく、効率的な方法を見定めるスキルも必須だ。

このようなスキルを備えた人材がいないと、現場の業務効率は大きく下がってしまう。

英語力

ITに関する文献や最新情報は、英語で発信されることが多い。また、海外のIT製品・サービスを購入したときや、外国企業と共同でプロジェクトを進める場合なども、基本的な英語力が必要になる。

特に海外のパートナーや顧客を抱えている企業は、コミュニケーション能力やマネジメント力にも関わるので、英語の習得が優先事項になるだろう。

ITエンジニアを効率的に育成する方法

ITエンジニアには情報技術以外のスキルも求められるため、ITSS資格を取得するだけでは一人前の人材とはいえない。実務をスムーズにこなす人材を育てるには、育成計画に工夫をとり入れる必要がある。

ここからは3つのステップに分けて、ITエンジニアを効率的に育成する方法を紹介しよう。

STEP1.従業員のスキルを見える化して評価する

従業員のスキルを見える化する手段としては、IT知識に関するアンケートなどを取り、スキルマップを作成する方法が挙げられる。実務に必要なスキル項目と、項目別の評価(5段階評価など)を一覧にまとめれば、会社全体で不足しているスキルが明確になるだろう。

STEP2.必要な人材像とスキルを明確にする

現状を整理したら、次は「必要な人材像」を明確にしておきたい。前述のITSSも参考にしながら、「どの実務をこなすために、どのようなスキルが求められるのか」を一つずつ整理しよう。

このときに整理したスキルと、上記のスキルマップを比較すれば、人材育成の方向性が分かりやすくなる。

STEP3.スキルや目的に合った方法を選ぶ

最後に学習方法を決めるが、身につけたいスキルや目的によって適した方法は異なることに注意したい。例えば、ITSS資格を目指す場合は書籍、対人的なスキルを伸ばす場合はスクールのように、従業員ひとり一人に合わせた育成計画が必要になる。

また、従業員が挫折しない方法を選ぶことも、意外と見落としがちなポイントだ。IT関連のスキルは習得が難しく、モチベーションに学習効果が左右されるため、意欲的に取り組めるような育成計画を考えたい。