ビジネス力を磨ける料理の魅力

経営者やビジネスパーソンの場合は、特に趣味として料理を楽しんで欲しい。上で紹介した魅力以外にもビジネスで必要とされる数々の能力が自然に鍛えられることがわかるだろう。

段取り力

献立は、複数の工程によってできあがる。例えば、ごはん、味噌汁、主菜、副菜といった一般的な家庭料理の献立でも、米を洗って水に浸し炊飯器のスイッチをセット。野菜は洗い皮をむいてカットし煮込み、炒める、肉や魚を切って焼くなど行うべき工程は数多い。また火の通り方や調味料を入れる順番による味付けの違いがあるため、料理の段取りは非常に大切だ。

食材や調理に関する知識が浅いうちは、段取りよく進まないこともある。しかし経験を重ねていくうちにベストな段取りをつかみやすくなり仕事にも応用できるだろう。

マルチタスク能力

複数の工程を効率よくこなすには、段取りのほかにも同時進行で複数の工程・作業をこなすマルチタスク能力が求められる。前述したように、一つの作業に没頭する工程もあるが、その横では鍋が火にかかっていたりオーブンが機能していたりするため、状況に応じて煮加減・焼き加減などの確認も必要だ。経営者やビジネス能力が高い人ほど、こうしたマルチタスク能力は身につけておきたい。

作業内容は違うとしても、料理を楽しみながらマルチタスク能力を養えられるのは魅力といえる。

市場(相場や流行)感覚

料理の前には、食材を買いそろえる必要があるが、自分でスーパーや商店街を歩くことは市場の状況を知るのに役立つはずだ。旬の食材や流行、相場はビジネスにおいても非常に大切な知識である。また予算内の買い物をすることでコスト管理能力も磨かれるだろう。

創造力

経営者やビジネスパーソンにとって、商談などで取引先とおいしい食事をとる機会は少なくない。「あの店の料理をまた食べたい」などと思うこともあるのではないだろうか。自分でその味を再現したいと思うとき、切り方、火の通し方、味付け、盛り付けなどを思い出し、真似てみることで創造力が磨かれる。磨かれた創造力は、製品開発などにおいても活かせそうだ。

コミュニケーション能力

冒頭で述べたが、料理はおいしいといって喜んで食べてくれる人がいるから楽しみとなる。そのためには、食事のシーンや食べる人の好みを考えたり見せ方を演出したりするなど、楽しい時間を共有するためのコミュニケーション力を発揮する必要があるだろう。

また買い物の際、店頭で知らない食材を見たときに店の人に尋ね、調理の仕方やよりおいしい食べ方を教えてもらうといったコミュニケーションも楽しいものだ。