地方政府が急ぐ規制緩和

例年であれば、9月~10月は住宅販売が活発化する時期だと言われているが、今年は振るわなかった。そのため、不動産業者は新たな土地の取得よりも在庫調整に力を入れている。しかしこの在庫調整も、完全に終了するまでに2年はかかるであろうという見方もある。

金融機関でも住宅ローンの焦げ付きが発生している。ローン残高が新築住宅の評価額を上回り始めているため、債務者がローン返済不能になっているのだ。地方政府は不動産購入に関する規制を緩和するなど対応を急いでいる。というのも、地方政府の財政収入の約6割が、土地譲渡金収入だからだ。これは地方政府が民間業者に土地使用権を払い下げる際の収入だ。要するに、地方政府の債務返済能力が低下し始めている。


注目される今後の政策

中国メディアの『新京報』は、中国不動産市場の黄金の10年が終わりを告げたとしながらも、政府が救済措置を相次いで打ち出すことで、不動産価格が上昇に転じると楽観的だ。一方、『華商網』は著名エコノミストの意見を掲載し、住宅価格は下落を続け、不動産業者の8割が淘汰されるだろうとしている。『捜房網』では、ローンの焦げ付きが発生し、信用危機が発生すると予測している。

また、建設業や不動産業が不振になれば、建材や設計など多岐にわたる業界がダメージを受けることになる。中国の格差問題が拡大し、政治問題へと発展するかもしれないと警告している。今後、中国政府が住宅市場に対して有効な政策を打ち出せなければ、住宅バブルが崩壊となり、中国発の世界不況も発生するという最悪のシナリオも考えられる。

10月29日、中国の内閣に相当する国務院は、住宅消費安定化させるために資金の利用条件を緩和していく方針を示した。これからの政策が注目だ。

(提供:不動産 online)

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