この記事は2023年6月30日に「第一生命経済研究所」で公開された「都区部版・日銀基調的インフレ率の試算」を一部編集し、転載したものです。


世界的なインフレが続く時代!インフレに強い資産運用とその理由とは?
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基調的インフレ率はそろって低下

以前のレポート(*)で試算した東京都区部版の基調的インフレ率3指標について、本日公表の6月都区部CPIを用いて計算した。刈込平均値(全国ウェイト換算)は5月:+3.0%→6月:+2.8%、加重中央値(全国ウェイト換算)は5月:+1.1%→6月:+0.7%、最頻値は5月:+3.8%→6月:+3.4%となった(いずれも前年比)。3指標の伸び率はいずれも低下しており、価格転嫁圧力の弱まりを示唆している。

*:Economic Trends「東京都区部版・日銀基調的インフレ率の試算」(2023年5月1日)

日銀の植田総裁は28日のECBフォーラムの討論会において、緩和継続の理由として「基調的な物価上昇率が2%より低い」点を改めて強調した。「基調的な物価」が何を指すのかは必ずしも明示されているわけではないが、これらの品目別価格上昇率の分布に着目した指標もそれを判断する大きな材料だと考えられる。来月公表される全国版の基調的インフレ率3指標も低下を見込むが、それは日銀の緩和継続を後押しするだろう。

第一生命経済研究所
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第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 星野 卓也