FIREのリスク
FIREには、リスクも多い。FIREするまでの資金目安とFIREを実現した後の資金需要は、異なる可能性もあることは充分に考えておく必要があるだろう。当然ながら相場は上下するもので投資に確実なものはない。計画どおりに収益を得られるどころか資産が目減りすることもある。運用益が出なければ生活費を捻出するため目減りした資産を売却し、さらに手持ち資産が減少してしまう可能性もある。
もちろん将来のインフレリスクも考えておかなければならない。さらにいえばFIREのための必要資金額はリタイア後の生活費を基本としているが、旅行などの娯楽費や車の買い替え、将来の医療費や介護費、自宅のリフォーム費などは含まれていない。FIREを希望するなら本来現役として働く期間のことだけでなく生涯を全うするまでの期間を意識し費用計画を立てることが必要だ。そうやって考えると1億円あってもFIREは難しいかもしれない。
著:續 恵美子
ファイナンシャルプランナー(CFP®)。生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。こうした経験をもとに、生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などを行う。