メタコマース参入のデメリット

メタコマース参入には、さまざまなメリットがあるがデメリットも指摘されている。そのため、メタコマース参入を検討する場合は、どのようなデメリットがあるのかも確認しておきたい。

操作性の悪さ

メタコマースプラットフォームは、技術的に複雑だ。特に初心者やテクノロジーに不慣れなユーザーにとっては、操作が困難であるケースが多い。そのためインターフェースが直感的でないことがユーザーの離脱を招く原因となり、結果として顧客の拡大を妨げる可能性がある。

整いきっていない環境

メタバースのインフラストラクチャは、発展途上だ。本格的なメタコマースのメリットを共住するには、どうしても専用の機器、例えばVR用のヘッドマウントディスプレイなどが必要となる。スマートフォンのように「誰もがVR専用機器を所持している」という状況には至っていないため、「メタコマースによって大きな売り上げを目指す」という環境が整っているとは言い難い状況だ。

参考になる事例が少ない

メタコマースは、その性質上、先行事例が極めて少ない。そのため市場の反応や消費者の行動を予測するのが難しく、投資リスクがあるといえるだろう。企業は、独自の戦略を設計し、不確実な市場環境でのテストと試行を繰り返すことが求められる。このプロセスは、時間とコストを要するため、成功までの道のりは容易ではない。

以上のメリットとデメリットを理解し、適切に対応することが、メタコマース市場への参入成功の鍵となる。企業は、これらの要素を慎重に評価し、自社の長期的なビジネス戦略にどのように組み込むかを考慮する必要がある。

仮想空間ならではの買い物体験ができる新たな売り場に

仮想空間でのバーチャルショップは、ネットショッピングの弱点である訪問者へのアピールや接客ができる点がメリットだ。さらに単にモノを購入するためだけに訪れるのではなく、ショッピングという経験に付加価値を与えられる可能性を秘めている。ローソンがバーチャルショップで試みたブイチューバーによる接客は、メタコマースならではの体験だろう。

コロナ禍以前から若年層の顧客の取り込みに苦戦している百貨店にとっては、かつて百貨店が持っていた「百貨店で買い物をするというハレの経験」を、新たなかたちで提供できるチャンスになるかもしれない。

また、利用者は自身のアバターを操作してメタバース内を自由に移動できる。メタコマースでは、単にリアル店舗と同じものが購入できるだけでなくアバター向けのアイテムも販売している。例えばアバターとその操作者である利用者が同じ服やアクセサリーを購入して身に着けることもできるのだ。

文・せがわ あき
会計事務所に10年勤務。その後、会計ソフトメーカーでの勤務を経て、現在は会計・税務・金融などをテーマにライティング活動を行う。会計事務所では、顧問先の会計業務や融資支援に従事。融資のための提出資料作成や融資・資金繰りのアドバイスなどを行う。会計ソフトメーカー時代には、お客様対応業務に加えてソフト開発にも携わり、お客様の声を製品に反映させる仕事に従事。

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