メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「年初来高値に近づく。頑強経済、財政支出拡大には注意」メキシコペソ見通し

予想レンジ 8.3-8.8

 (ポイント)
*年初来高値の8.776も見え始めた
*ペソの高が輸出に悪影響を与えるという懸念なし、財務副大臣
*来週はいよいよ政策金利決定 据え置きか
*介入円高には気をつけたい
*3Q・GDP堅調、他の指標も堅調
*郷里送金も増加傾向続く
*中銀は成長見通しを上方修正
*IMFも成長見通しを上方修正も財政支出拡大に警戒
*米国とGDPと金融政策を比較したい
*インフレとの戦いは長い、中銀理事
*大統領も為替ヘッジプログラムの縮小を支持
*リスク回避、決算でも売られた10月から戻す
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり

(年初来高値の8.776も見え始めた)
10月は最弱通貨となったが終盤盛り返し月間では2.22%安にとどまった。年間では27.68%高で首位を走っている。円の急落もあったが、好調な3Qの国内総生産(GDP)もペソを支え11月も好スタート。前回触れた5日線上向きも上昇のきっかけとなった

(来週はいよいよ政策金利決定)
 11月10日が政策金利決定、前日に10月消費者物価発表。
消費者物価は4.45%から4.1%、コアは5.76%から5.3%へ低下の予想。政策金利は11.25%で据え置き予想。10日には9月鉱工業生産の発表もある(予想0.3%増、前月5.2%増、前年比)

(3Q・GDP堅調)
 3Q・GDPは前期比0.9%増加、予想の0.8%増を上回った。8四半期連続の成長。海外需要を中心に農業が好調で、主力の自動車産業やサービス業の伸びも続いた。前年同期比では3.3%増、予想の3.2%増を上回った。

(頑強な経済)
 米国の消費回復の恩恵を受けた農業輸出増に加え、「ニアショアリング」も追い風となった。8月小売売上高は前年比3.1%増、8月経済活動指数は前年比3.7%増だ。メキシコ経済が金利上昇にも関わらず依然として回復力を維持していることを示している。9月失業率も2.9%と低い。
 今週発表された10月企業信頼感は54で前月の53.8、予想の53.5を上回った。10月製造業PMIは52.1で前月の49.8、予想の49.5を上回った。 

(郷里送金、41カ月連続増)
 郷里送金(海外からメキシコへの送金額)が9月は56億1300万ドル、前年同月比11%増。増加は41カ月連続。1人あたりの平均送金額は403ドル。23年1〜9月の累計送金額は470億7100万ドル(前年同期比9%増)。この主として米国からの郷里送金額の多さは、日本で働く外国人労働者が海外の郷里へ送る送金が3億ドル程度であることと比較してもよくわかる。

(メキシコ中銀の調査)
中銀は民間銀行に対し、今後の見通しを定期的に調査する。今回は以下の結果となった
・インフレ率が2023年に4.61%、2024年に4.01%になると予想
・2023年のGDP成長率が3.25%となり、前回の3.15%より若干高くなるだろうと予想
・2024年のGDP成長率が2.02%となり、前回の1.91%より若干高くなるだろうと予想