吉野屋の牛丼値上げ…牛丼価格高騰と円安はいつまで続くのか


吉野屋ホールディングスが牛丼を値上げ

吉野屋ホールディングス <9861> は12月9日に12月17日午後3時から25品目を値上げすることを発表した。値上げ実施は消費税率が引き上げられた今年の4月以来となる。牛丼並で300円が380円になるなど、約27%の値上げに踏み切る。また、すき家も牛丼の並盛を250円から270円に、松屋も同様に290円の牛丼並盛を380円に値上げを発表するなど、円安を受けた値上げが相次いでいる。

牛丼業界は各社が激しい価格競争を繰り広げており、デフレの象徴とまで言われていた。しかし、ここに来て想定を超える急激な円安を受け、コスト削減という企業努力だけでは値上げ分を吸収できず、安定的に牛肉を使用したメニューを提供できない水準にまで牛肉の仕入れ価格が上昇してしまい、やむなく値上げに踏み切っているのが現状だ。


値上げの主な要因は

円安による輸入コストの増加はもちろん、米国中部の歴史的な干ばつが2010年から続いており、牛がエサとする牧草がほとんど育たたなくなったため、牛肉の出荷量が激減している。さらに、低価格外食チェーン店は人手不足に伴う賃金の上昇を受けて、各社コストが急激に増加したため、値上げしないと経営が立ち行かなくなっている。その上、中国や東南アジアといった新興国で牛肉の需要が増加しているため、仕入価格の上昇に弾みがついている。

実際、吉野屋が使用している「ショートプレート」といわれている牛肉の部位は、今年の頭にはキロ600円台だったものが、今では1,000円台にまで一本調子で価格が上昇。BSE問題によりアメリカ産牛肉の禁止措置が取られた年以来の1,000円台になっている。一年で主な材料である牛肉が約2倍になってしまうと、とてもではないが企業努力だけではカバーは難しい。現にゼンショーホールディングスが運営する「すき家」では、2015年3月期は当初15億円以上の営業利益を見込んでいたが、今では17億円以上の営業損失に業績見通しを大幅に下方修正する等、見通しは厳しくなっている。