本記事は、ぱやぱやくん氏の著書『その絶望感って、本当は心のまぼろしじゃない?』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
本当にやってはいけないことは問題から目を背けること
本当に辛い状況で一番やってはいけないことは、問題から目を背けることです。問題から目を背けるとは何も決断せず、ただ放置をしてしまうことです。この選択をすることが「早めに対処をすれば、なんでもなかった状況」を「最悪の状況」に変えてしまうのです。
「辛いときは逃げてもいいんだよ」というフレーズがありますが、「逃げる」という選択肢はそこまで悪くありません。理由は「逃げることを自分で決断している」からです。人間は決断さえしてしまえば、どんなに苦しいことであっても気持ちが多少は楽になり、次の行動に移すことができます。一方、本当に最悪な選択肢は「逃げもせず、立ち向かいもしないで、ただ時を経過させること」なのです。
会社の仕事で例えるのであれば、クレームが来たときには「クレーム対応をしっかり行う」もしくは「相手にしない」の2つの選択肢から選ぶ必要がありますが、ここで「どちらも選択せずにただ放置をする」という選択肢をとると、ただ心の中で悩みが膨らむようになり、どうしようもない状況になって苦しむことになります。
問題に直面したときは放置せず、まずは「対応するのか」「対応することをやめるのか」をはっきりと決めてください。そうすることで「どうしよう…」と悩み、心が消耗することがなくなります。
辛いときはあえて心を無にしてみる
辛いときに「しんどい」「もういやだ」と考えてしまうことは百害あって一利なしと言えます。なぜなら、辛いと思うことで心がさらに辛くなり、嫌な気持ちですぐにいっぱいになってしまうからです。陸上自衛隊のベテラン隊員はそのことをよく理解しているので、「辛いときこそ心を無にする」という人も多く存在しています。大雨の中での作業や、重量物を持っての移動時に、あえて心を無にすることで自分が受けるダメージを減らすのです。長時間にわたって息を止めて、潜水するダイバーも「余計なことをできるだけ何も考えない」という話を聞いたことがあります。余計なことを考えると、それだけでエネルギーを消耗してしまいますし、人間はどうしても考え事をしてしまうと、ネガティブなイメージがわいてしまうからです。
私も辛い訓練のときに「小学校時代の思い出」などを思い出すことで、気を逸らそうとしましたが、このような思考は「ネガティブな思い出が蘇りやすい」「不注意になりやすい」というデメリットが多く、あまり有意義ではなかったので、やはりできるだけ心を無にして、何も考えないようにしたほうが良いと言えます。
心を無にすることが難しい人は「自分は心のないマネキンだ」や「自分は命令に従うロボットだ」というイメージを持ってみるといいでしょう。そうして心のシャッターを意図的に下ろし、心のスイッチをオフにすることも時には大切だと言えるでしょう。
作業はとりあえず終わらせることを目標にする
やりたくないパワーが溜まることによって、本当に辛くなって何もできなくなってしまう前に「とりあえず終わらせる」ことを目標にやってみることをおすすめします。本当はできるのに、できないと信じてしまうメンタルブロックが発生してしまうと、その状態を乗り越えるのにかなり苦労するからです。
そもそも、作業がなかなか進まない人は完璧主義に陥っている可能性があります。「こんなものではダメだ」「大したものができない」と悩んでしまうから、手が進まず落ち込んでしまい、やりたくなくなってしまうのです。メンタルブロックがかかる前に、やらなくてはいけないことがあるときはこのように考えてみましょう。
自分は完璧主義よりも完成主義を目指す、と。
完璧主義になってしまうと「ここがダメだ」「こんな内容ではダメだ」と自分を責めるようになり、物事が進まなくなります。このような状態を避けるためにも「完成主義」を目指してください。完成主義とはその言葉の通り、「とりあえず完成させる」という考え方です。
私の周りの作家からも「1/3を書いた段階でやめたくなる」という意見をよく聞きます。文章を書いていると「あれ? これ本当に面白いのか?」と悩むようになり、だんだんと書くのが嫌になり、途中で投げ出したくなってしまうことがよくあるからです。ある小説家の方は「本を書き終えるには弱い自分の心を吹き飛ばす、気合いと根性が必要」と語っていましたが、完璧を目指してしまうと手が止まってしまい、永遠に完成しなくなってしまうので気を付ける必要があるでしょう。
もちろん、クオリティが高ければ高いほどいいことは当たり前ですが、クオリティを求めた結果として進捗がなく、「どうしよう」と苦しむぐらいならとりあえず終わらせるしかありません。下手くそでも、納得いかなくても、自分を責めずにこのように考えてみてください。
「いまはこれでも仕方ない、でもこれから上手くなるから大丈夫」と。
下手な自分を責めるよりも、ちゃんと終わらせた自分を「これから上手くなるから大丈夫」と褒めてみてください。自分が頑張った成果に対して「こんなものはダメだ」と考えてしまうと、もうそれ以上やるのが嫌になってやめてしまう可能性が高くなるので、ちゃんと自分を褒めて、次のステップへ進んでいきましょう。
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