総括
FX「人民元はドルに追随で上位安定、全人代で財政支出拡大か」人民元見通し
(通貨4位、株価10位)
予想レンジ 人民元/円 21.3-21.8
(ポイント)
*株は乱高下しても人民元は安定
*上海、香港の株価指数はマイナス圏から急騰
*今週来週は10月PMIの発表
*EU、中国製EVへ追加関税、最大45.3%。中国は対抗措置
*来週は全国人民代表大会=全人代。巨額資金調達
*工業部門利益、9月は27.1%減
*ドルに依存しない新たな決済システムの必要性 BRICS
*3Q・GDPは鈍化
*最優遇貸出金利0.25%引き下げ
*若年失業率、9月は17.6% 3カ月ぶりに低下
*9月貿易統計、輸出伸びず
*ゴールドマン・サックスは成長見通し引き上げ
*ブラックロックなど世界の投資家が中国への投資判断を引き上げ
*米政府、対中関税引き上げを最終決定
(株は乱高下しても人民元は安定)
人民元は先週末で、週間2位、月間4位、年間4位、米ドルがそれぞれ1位、1位、3位なので、依然米ドルに寄り添って推移している。米ドルを主としたバスケット制度を採用しているからだ。BRICSは米ドルに代わる決済システムを構築したいところだが、もちろん経済規模の一番大きい中国の元が主軸となる。その時もドル連動の相場体系を維持するかが焦点だ。
(上海、香港の株価指数はマイナス圏から急騰)
株価は先週末で、上海総合指数が10.92%高で19市場中で10位、香港ハンセン指数が20.78%で3位。今週は伸び悩んでいるが、今年は一時両市場ともにマイナス圏にあったことを考えれば急騰した10月であった。
(今週来週は10月PMIの発表)
・10/31 政府版製造業・非製造業・総合PMI
・11/1 財新製造業PMI
・11/5 財新サービス業・総合PMI
予想はいずれも0.2から0.4ポイントの改善予想
(EU、中国製EVへ追加関税、最大45.3%。中国は対抗措置)
EUは、中国製の電気自動車(EV)に対する関税を最大45.3%まで引き上げることを決定した。従来の10%関税に加えて徴収する。欧州委員会は、優遇融資や補助金、市場価格を下回るバッテリーなどに対抗するため関税が必要だと主張。
中国のEV生産能力は年間300万台で、EU市場の2倍。米国とカナダの関税が100%であることを踏まえると、中国製EVは欧州向けが多い。
中国政府はEU関税は保護主義的で、サプライチェーンに影響を与えると指摘。報復措置としてEU産のブランデーや乳製品、豚肉を対象に独自調査を開始した。
(来週は全国人民代表大会=全人代。巨額資金調達)
中国は11月4-8日に開催する全国人民代表大会(全人代)常務委員会で、経済支援に向け今後数年間で国債など10兆元(1兆4000億ドル)超の追加発行を承認することを検討している。
また習近平国家主席は政府や地方の幹部に対し、改革推進と目標達成に向け努力・協調するよう促した。習氏は、各部門・地方は「確定した一連の主要な措置を誠実に実行」すべきだと表明。措置の詳細には触れなかった。
また、今後2カ月で国の年間経済・社会発展目標を達成するよう求めた。
(工業部門利益、9月は27.1%減 今年最大の落ち込み)
9月の工業部門企業利益は前年同月比27.1%減と、月間ベースで今年最大の落ち込みを記録した。8月の17.8%減からマイナス幅が拡大した。1-9月は3.5%減と、1-8月の0.55%増から減少に転じた。
工業利益低迷の要因として、需要不足や生産者物価の一段の下落のほか、比較対象となる前年の水準が非常に高かったことによるベース効果を挙げた。