トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「リラ円は11か月以上、4円台で推移。インフレ見通し引き上げ」トルコリラ見通し

(通貨最下位、株価3位)
予想レンジ トルコリラ/円4.2-4.7

*リラ円は11か月以上、4円台で推移
*9月鉱工業生産は弱く、失業率は変わらず
*本日は9月経常収支と小売売上の発表、経常黒字は4か月連続となるか
*トルコ中銀、今年末と来年末のインフレ見通し引き上げ
*政策金利決定は11月21日。3Q・GDPは11月29日に発表
*トランプ氏をトルコ訪問に招待
*2028年までに国内エネルギーシェアを63%に引き上げる目標
*トルコ長期ソブリン格付けを「BB-」に引き上げ
*リラの持続的急騰はないだろう 急騰時にはリラ売り介入あり
*IMFの成長見通しは3.0%、2024年
*BRICS加盟に意欲、中国との経済関係を強めている
*エルドアン大統領、第三次世界大戦に警鐘を鳴らす

(リラ円は11か月以上4円台が続く)
 リラ円は11か月以上4円台が続く。リラも弱いが円も弱く、リラは下位で安定している。中銀の為替政策もリラを昔のように押し上げる政策でなく、安定を重視している。リラが上昇する局面ではドル買いリラ売り介入も実施した。ただ4円台の通貨なので1円動けば25%、スワップ金利が現在約年率32%程度なので1円の動きと言っても大きい。
 今月はここまで最強、年間では11位と円の後塵を拝している。
 イスタンブール100株価指数は24.18%高、一時50%を超える上昇だったが、高金利継続に耐えられず一時10%高まで伸び幅を縮小した。
 10年国債利回りは30.13%と高い。

(鉱工業生産は弱く、失業率は変わらず)
 トルコの鉱工業生産は減少したものの、前年比では減少ペースは鈍化し、失業率は9月も横ばいだった。

*9月の鉱工業生産は前年比2.4%減となった。8月は5.2%減だった。月次ベースでは、工業生産は8月に1.6%減少した後、9月には1.6%増加した。
 
*9月失業率は8.6%で8月と変わらず。
失業者数は8月から3万5000人増加し、9月時点で310万人となった。
男性の失業率は前月比0.3ポイント低下して6.7%となったが、女性は0.7ポイント上昇して12.3%となった。
15~24歳の若者の失業率は0.3パーセントポイント上昇し、17.1パーセントとなった。政府は、失業率が2024年末に9.3%となり、来年には9.6%に上昇し、2026年には9.2%に緩和すると予測している。
政府の推計によれば、失業率は2027年には8.8%まで低下する。

(本日は9月経常収支と小売売上の発表、経常黒字は4か月連続となるか)
 9月経常収支の予想は28.5億ドル。8月は43.2億ドルの黒字。3か月連続黒字が続いている。貿易赤字の縮小と、海外からの訪問者増加による観光収入の拡大が要因だ。
 また9月小売売上高も発表される。前年比で予想は9%増、8月は13.3%増。

(トルコ中銀、今年末と来年末のインフレ見通し引き上げ)
 トルコ中銀は11月8日、四半期インフレ報告書で、今年末と来年末時点のインフレ率の見通しを44%と21%とし、前回の38%と14%からいずれも引き上げた。

 中銀は1年半前から積極的な利上げを進めているが、インフレの抑制に想定より苦戦している様子が浮き彫りになった。
 カラハン総裁は、サービス関連価格は予想よりも減速ペースが鈍いが、変動の大きい項目を除くコアインフレは改善傾向にあると指摘。サービス部門でもインフレは徐々に勢いが減じているとの見方を示した。
 その上で「物価の安定が達成されるまで引き締め的な政策姿勢を断固として維持する」と明言。サービス部門のインフレの粘着性が弱まるにつれて、2025年には基調的なインフレがさらに鈍化するとの見通しを示した。

(今後の重要指標は)
 次回政策金利決定は11月21日。また3Q・GDPは11月29日に発表される予定。

(トランプ氏をトルコ訪問に招待)
 エルドアン大統領は米大統領選で再選されたトランプ前大統領にトルコを訪問するよう招待したと明らかにした上で、緊張状態にある米国との関係改善に期待を示した。
 また、トランプ次期米政権とトルコの協力が地域的な危機の打開にも役立つ可能性があるとの期待も示した。
 現職のバイデン大統領は就任以来トルコを訪問しておらず、今年初めに予定されていたエルドアン大統領の訪米は、十分な説明がないままなく立ち消えとなった。