目次
現在までの事業変遷について
—— まずは現在までの事業変遷についてお伺いさせてください。
株式会社NEXYZ.Group 取締役副社長・大前 成平氏(以下、社名・氏名略) 当社は昭和62年に、代表の近藤が19歳の時に創業し、その2年後に私が入社しました。ちなみに社長と僕の年齢が2歳違いで、僕も19歳で入社しました。当時は電電公社がNTTに民営化されたばかりで、一般家庭のホームテレホンが販売できるようになったタイミングでした。それまでは黒電話を借りる形しかなかったのですが、NTTになったことで電話機自体を売れるようになりました。それの販売からスタートし、その後携帯電話の普及を担いました。
当社が携帯電話販売に参入したのは、まだドコモという会社がない時代で、NTT社が携帯電話を売っていた時代です。その後、衛星放送の加入促進といったものが始まりました。一般的に電気屋さんでは、チューナーを何万円かで買って、それで初めて見られるということだったのですが、当社はチューナー付きの初期費用無料で月々の料金で利用できるという内容でヒットしました。
そして、ブロードバンド革命に進んでいきました。Yahoo!BBでは400万回線中の137万回線を当社で普及。今までずっと他社様の商品を販売代理店として売ってきて、その販売力・営業力で上場したわけですが、やはりいろんなキャリア様のコンディションによってはインセンティブが下がったり、さまざまなトラブルがつきものでした。
そこで、自分たちの商品、自分たちのサービスを作り上げていこうということで、自社完結型モデルになっていきました。まず、電子雑誌の運営を開始しました。ブランジスタという会社が電子雑誌を運営していますが、これにより2015年東証グロース市場に上場しました。電子メディアで上場したのは国内でも初で、おそらく世界でも初ではないかと思います。現在は、多くの会社が電子雑誌を使っていますが、当時は当社ぐらいしか扱っていなかったということです。
その後13年前にLED照明の導入支援サービスを開始し、空調、業務用冷蔵庫、厨房機器、外壁塗装と次々と商材が増えてきました。そして、エンベデッド・ファイナンス(組込み型金融)は、企業や自治体が初期投資オールゼロ円で設備投資できてカーボンニュートラルに取組めるという事業に発展しました。現在はセルフエステも全国出店しており、2年前に事業を開始し非常にヒットしている「ACCEL JAPAN(アクセルジャパン)」も、得意とするゼロスキームの新しいサービスです。
顧客の経済的な心理ハードルを下げるビジネスモデルは、人々が必要なものを必要な時に手に入れることができる、つまりは時間や価値の創造です。その普及活動に関しては、だいぶキャリアを積んできた会社だと思っております。
NEXYZ.グループにおける大前氏の役割について
—— 御社における大前さんの役割について、社長との役割分担を含めて教えていただけますか?
大前 役割分担と言いますか、やはり私たちの会社では創業者である近藤の力が非常に大きいです。彼が仕事の風穴を開けてくれて、私たちがそれを形にしていくというのが主な役割ですね。近藤の人脈が広く、面白いプロジェクトができたりします。
また、現在NEXYZ.Group(東証スタンダード)は、初期投資0円のエンベデッド・ファイナンス事業を行うNEXYZ.とブランジスタという2つの子会社があります。ブランジスタ社は東証グロースに上場しておりますが、NEXYZ.社は主力のエンベデッド・ファイナンス事業のため、上場はできません。こちらのNEXYZ.社の社長を私が兼務しており、全般的に任されています。
大前氏が意思決定の際に重要視をしている点について
—— 意思決定をする際に重要視している点についてお聞かせいただければと思います。
大前 1つめは、さまざまな企業と決済者同士が組んで強いパートナーシップを結ぶこと。営業が動きやすい仕組みづくりを最重要視しています。例えば、エンベデッド・ファイナンス事業の戦略・戦術面においては、地方銀行や信用金庫とのビジネスマッチング提携が約100社に拡がっています。地域と関わりの深い銀行の方々がお客様を紹介してくださるので、営業がしやすくなります。
また、商品を選ぶときには、お客様自身が困っていることを解決する商材を扱うことを重視しています。それによって、お客様の課題が解決し、当社のファンになっていただけるからです。ニーズには、便利になるものや楽しくなるものもありますが、店舗や施設など現場のニーズは困っているものを助けてほしいというものです。そういった商材をラインアップに組み込むことが重要視している2つめのポイントです。
—— 金融機関との関係については、設備投資したい顧客に金融機関もお金を貸したいと思うかもしれませんが、そのあたりはうまく分担できるのでしょうか?
大前 お客様に融資の希望額があっても、金融機関が審査上貸せる額が限られていることがあります。しかし、当社と組んでいることによって、金融機関が融資できる額と私たちが提供するサービスを組み合わせることで、お客様のリクエストに応えることができます。これにより、お客様が最初に望んでいた設備投資を完成させることができるため、ウィンウィンの関係が築けています。
大前氏の思い描いている御社の未来構想について
—— 今後のNEXYZ.Groupの未来構想についてお聞かせいただけますでしょうか?
大前 まず1つめは、当社は「なくてはならない会社」を目指し、環境や社会貢献に力を入れております。例えば、2012年に開始した「ネクシーズZERO」のLED照明普及によってCO₂の排出削減に貢献するとして、環境大臣からエコ・ファースト企業に認定されています。2025年9月までに200万トンのCO₂排出削減を目標としておりましたが、1年前倒しで達成し現在はすでに203万トン以上の削減実績が出ており、今後もこれを積み重ねてまいります。
2つめは、マーケットの拡大です。当初はLED照明からスタートし、冷蔵庫や厨房機器など商業系の企業様にサービスを提供していましたが、3年前から農業分野にも進出し、スマート農業やIoT化の推進を行っています。農業用ハウスの初期費用が高額であるため、個人の農家さんにとっては融資が難しいなどの課題があります。そこで、私たちはその解決に向けて拡大中です。今期は工業分野にも進出し、工場内で扱う設備を初期投資0円のモデルで提供しはじめました。中小企業の設備投資市場だけでも、エンベデッド・ファイナンス事業が挑戦できる設備投資の市場規模は17兆円まで拡大余地があります。
3つめは、既存客への追加商材やリピート受注の促進です。すでに約11万件のお客様がいらっしゃいますが、LED照明の寿命は約10年程度で照度が落ちてくるため、買い替え需要が発生します。また、新しい商材、例えばAIを使った配膳ロボットなどのテクノロジー商材も導入し、お客様がライバル店舗よりも早く導入できるようにしたいと考えています。
ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言
—— ZUU onlineユーザーおよび投資家の皆さんへ一言お願いできますか。
大前 2019年9月期の連結営業利益は20億円で、過去最高益でした。しかし、コロナ禍を経て、2022年9月期には3億円、翌年は7億円、そして前期は11億円で着地し、今期2025年9月期は15億円の予想を発表しています。この3年間で見ると成長を遂げていますが、2019年と比べるとまだ半分程度ですので、全く満足していません。
ブランジスタにアクセルジャパンが加わり、エンベデッド・ファイナンス事業では金融機関とのビジネスマッチングが100社近く実現しています。つまり、2019年よりも戦力が向上しています。
また、当社はNEXYZ.とブランジスタのツインエンジンを活用して、利益の最大化に加えて地域社会に貢献できる企業を目指しています。投資家の皆さんには、引き続き応援のほどよろしくお願い申し上げます。
—— 本日は貴重なお話をありがとうございました。
- 氏名
- 大前 成平(おおまえ しげひら)
- 社名
- 株式会社NEXYZ.Group
- 役職
- 取締役副社長