南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「年間最強も11月弱かった理由は」南アランド見通し

「通貨首位、株価13位」
「予想レンジ 南アランド円8.0-8.5」

(ポイント)
*年間では首位堅持も11月月間は11位と弱かった
*11月弱かった理由は
*今週は3Q・GDPの発表
*IMFの見通しが改善
*南ア金融システムが改善
*インフレ目標引き下げが議論されているが、結論まで時間がかかりそうだ
*南ア格付け見通し引き上げ
*3Q失業率が改善
*トランプ政権誕生で、関税引き上げ問題とAGOA法の存続が注目される
*中銀総裁がランド高示唆

(年間では首位堅持も11月月間は11位と弱かった)
 11月は12通貨中11位と弱かったが、何とか年間首位は維持した。アフリカ全株指数は年初来9.91%高、10年国債は8.9%で年初来、今年、金利が低下している数少ない市場だ。
 11月が弱かった要因はトランプトレードで全体的にドル高が進んだこと、さらにトランプ氏が「掘って掘って掘りまくれ」と鉱産物の増産を示唆したことで価格が全体的に下落、資源国南アのランドが売られた。ちなみに11月月間で南アでの産出が多い金が3.1%、銀が6.28%、パラジウムが11.99%、プラチナが4.54%と総崩れとなった。

(今週は3Q・GDPの発表)
 停電も長期間ないことから3Q・GDPは上昇する見込みだが。予想はそれほどの大幅改善ではない。前期比で0.7%増(前回は0.4%増)、前年比で0.8%増(前回は0.3%増)である。 

(今週の他の指標)
 今週は11月アブサ製造業PMI、S&PPMI、3Q経常収支の発表もある

(IMFの見通しが改善)
 IMFは、南アの経済見通しは改善しており、経済活動は回復していると述べた。これは、選挙後の信頼回復による国内需要の回復、3月末以来の停電なしによる発電の改善、金利の低下によるものだ。
 IMFは、マクロ経済の安定を確保する政策と、潜在成長率を永続的に引き上げ、雇用を創出し、より環境に優しい経済への移行を促進するために必要な構造改革について議論した後、南アの国内総生産(GDP)成長率予測を、年半ばに予測された0.9%から現在の1.1%に修正した。
 また、来年のGDPは「選挙後の信頼回復、発電の改善、金利低下による国内需要の回復」により1.5%まで加速すると予想されていると付け加えた。
 IMFの声明に対し、財務省は今年も同じ成長率を予想しているが、10月末に発表された中期予算政策声明に沿って、来年はIMFの予想より2パーセントポイント高くなるだろうと述べた。
 
(AGOAがカギ)
  リシュモンの会長ルパート氏は、南アとアフリカ大陸の30カ国以上に世界最大の経済大国への無税アクセスを与える貿易協定(AGOA)の延長は母国にとって極めて重要だと述べた。AGOAは9月に期限切れとなる。
 「AGOAを失えば、自動車産業、農家、輸出など経済に深刻な打撃を与えることになる」とルパート氏は述べた。「私は自分が持つわずかな影響力を駆使して、AGOAを無傷のまま維持するよう努めるつもりだ」
 南アはロシアのウクライナ侵攻を非難せず、イスラエルをガザでの大量虐殺容疑で国際司法裁判所に提訴したことで米国の怒りを買ったため、AGOAへのアクセスを失うのではないかとの懸念がある。このため、一部の米国議員は南アフリカとの貿易関係の見直しを求めている。