主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年12月2日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼29日(金)の為替相場
(1):東京都区部CPIは加速
(2):ECBインフレ予想が上昇
(3):日銀総裁インタビュー記事で円買い
(4):S&P フランス格付けを据え置き
▼29日(金)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:日米金融政策を巡り上下する展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
29日(金)の為替相場
期間:29日(金)午前7時10分~30日(土)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):東京都区部CPIは加速
日本11月東京都区部消費者物価指数(CPI)は、日銀が注目する生鮮食品を除いたコアベースで前年比+2.2%と市場予想(+2.0%)を上回り前月(+1.8%)から伸びが加速した。これを受けて日銀の12月利上げ観測が高まると円買いが活発化した。
(2):ECBインフレ予想が上昇
欧州中銀(ECB)が発表した10月の消費者期待インフレ率は1年先で2.5%と市場予想(2.3%)に反して前月(2.4%)から上昇した。3年先のインフレ期待は2.1%で予想通りに前月から変わらなかった。その後に発表されたユーロ圏11月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.3%と予想通りに前月(+2.0%)から加速。食品やエネルギーなどを除いたコアHICPは前年比+2.7%と予想(+2.8%)に届かず前月と同じ伸び率だった。
(3):日銀総裁インタビュー記事で円買い
日銀の植田総裁は、追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいているといえる」との認識を示した。一方で、2025年の春闘交渉やトランプ次期米政権の経済政策を注視する考えを示し慎重な姿勢も滲ませた。総裁はその他、「中央銀行の立場からは、物価・経済見通しに為替レートがどういう影響を与えるかという点で考えるし、そこをポイントに政策運営する」とした上で「インフレ率が2%を超え始めているときに一段の円安になればリスクが大きい動き」であり「場合によっては対応しないといけなくなる」と述べた。この日本経済新聞のインタビュー記事を受けて円買いが再燃した。
(4):S&P フランス格付けを据え置き
大手格付け会社S&Pはフランスの長期国債格付けを「AA-」に据え置くと発表。S&Pはフランスの25年度予算を巡る状況について、国民議会(下院)が政府予算案を承認しておらず、少数与党政府は、議会の採決を経ずに法案を成立させる憲法49条3項の特例条項を用いる可能性が高まったと分析。また、S&Pはフランス政府が巨額の財政赤字を削減できなかったり、経済成長率が長期にわたり予測を下回った場合には、格付けを引き下げる可能性があると警告した。