総括
FX「異例の緩和策示唆で長期金利低下。人民元は大きく下落せずドルと歩調を併せる」人民元見通し
(通貨4位、株価9位)
予想レンジ 人民元/円 20.5-21.5
(ポイント)
*異例の緩和策示唆で長期金利低下。人民元は大きく下落せずドルと歩調を併せる
*異例の金融措置が検討される
*11月消費者物価は低い伸び
*内需低迷が輸入低迷に、11月貿易統計
*フィッチは、来年の経済成長予測を4.5%から4.3%に下方修正
*人民元安も容認検討か
*中国政府は米国追加関税を非難
*トランプ関税引き上げ前の駆け込み輸入、一時的に米貿易赤字拡大、中国は黒字拡大
*若年失業率、10月は17.1%に低下
*対中強硬派のルビオ上院議員を米国務長官に指名
(異例の緩和策示唆で長期金利低下。人民元は大きく下落せずドルと歩調を併せる)
人民元は11月9位で2位の米ドルに引き離されたが12月はここまで5位で4位のドルと再び歩みを揃えている。昨日は2025年には「政府が人民元容認」(後述)との報道があったが、大きく動かなかった。
金融緩和策に従って10年国債は1.83まで低下。年初は2.59%、11月末は2.02%であった。
上海総合指数は年初来15.38%高、香港ハンセン指数は18.23%高(日経平均は17.65%高)
12月20日にローンプライムレートの決定がある。
(異例の金融措置が検討される)
中国は来年、より大胆な財政拡大の資金を調達するため、非伝統的な金融措置を講じる可能性がある。高まる不確実性を切り抜けるための政策姿勢の異例の転換が示された。
人民銀行による多額の国債購入、さらに積極的な金利引き下げや銀行の準備金要求額の削減が含まれる可能性があり、政策の有効性を高めて急激な経済減速を回避するという政策当局者の決意の固まりと一致する。
中国が2025年に米国からの関税脅威を相殺するには財政刺激策の強化が鍵となるだろうとし、住宅市場の在庫調整や社会保障の強化のために今後数年間で数兆元の中央政府債務が追加で必要になる可能性が高い。
市場流動性を高めるために銀行が準備金として保持しなければならない預金の割合を減らす準備金比率が年末までに0.5%引き下げられ、2025年には2回の引き下げが行われると見られている。
(11月消費者物価は低い伸び)
11月の消費者物価は、5カ月ぶりの低い伸びを記録し、生産者物価も引き続き下落した。景気対策の効果が限定的であることが浮き彫りになった。
前年比0.2%上昇し、10月の0.3%ら伸びが鈍化した。予想は0.5%上昇。
11月の中国全土の平均気温は比較可能な統計がある1961年以降で最高で、これが農産物の生産・輸送を下支えする要因となり、食品価格が下落した。
11月生産者物価は前年比2.5%下落。10月は2.9%下落、予想は2.8%下落。来年以降も過剰設備がインフレを抑制するだろう。
(内需低迷が輸入低迷に、11月貿易統計)
11月の貿易統計によると、輸出は前月から伸びが鈍化し、輸入は予想に反して減少した。輸出は前年同月比6.7%増と、10月の12.7%増から鈍化し、予想の8.5%増も下回った。
輸入は前年比3.9%減少。10月は2.3%減、予想は0.3%増だった。
貿易黒字は974.4億ドルで、10月の957.2億ドルから拡大した。
(成長率見通し下方修正、フィッチ)
フィッチは、米国が対中関税をさらに引き上げるリスクがあるとして、中国の来年の経済成長予測を4.5%から4.3%に、2026年の予測を4.3%から4.0%にそれぞれ下方修正した。