主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年12月19日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼18日(水)の為替相場
(1):英CPI伸びが加速
(2):ECB専務理事「特定の金利経路にコミットしない」
(3):米住宅着工件数は7月以来の低水準
(4):FOMCタカ派的利下げ
(5):FRB議長会見
▼18日(水)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:植田総裁発言次第で大きく動くことも/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
18日(水)の為替相場
期間:18日(水)午前7時10分~19日(木)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):英CPI伸びが加速
英11月消費者物価指数(CPI)は市場予想通り前月比+0.1%、前年比は+2.6%となり、前年比は前月(+2.3%)から伸びが加速した。また、エネルギーや食品を除いたコアCPIは前年比+3.5%で予想(+3.6%)を下回ったものの前月(+3.3%)から加速。英中銀(BOE)が注目するサービスCPIは前年比+5.0%と市場予想(+5.1%)に反して前月から横ばいだった。
(2):ECB専務理事「特定の金利経路にコミットしない」
欧州中銀(ECB)のレーン専務理事は「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」との認識を示しつつも、世界経済の依然として残るリスクがインフレ見通しを変化させる可能性に言及し、「会合ごとに機敏に対応し、特定の金利経路に事前にコミットしないことが賢明」との見解を語った。
(3):米住宅着工件数は7月以来の低水準
米11月住宅着工件数は年率換算128.9万件と市場予想(134.5万件)を下回り、7月以来の低水準となった。着工件数の先行指標となる同建設許可件数は年率換算150.5万件だった。
(4):FOMCタカ派的利下げ
米連邦公開市場委員会(FOMC)では大方の予想通りに政策金利であるFF金利の誘導目標を「4.50-4.75%」から「4.25-4.50%」へと25bp(0.25%ポイント)引き下げた。声明では「労働市場の状況は概ね緩和しており、失業率は上昇しているものの依然として低い。インフレ率は委員会の目標である2%に向けて前進しているが、依然としてやや高い水準にある」との認識を示した。また、「委員会は長期的に雇用の最大化と2%のインフレ率の達成を目指す」と表明。FF金利誘導目標について、「追加的調整の程度とタイミングを検討する上で、データや変化する見通し、リスクのバランスを慎重に見極める」と、前回から若干調整された。なお、クリーブランド連銀のハマック総裁は「現在の金利水準が望ましい」として据え置きを主張した。同時に公表された経済予測の政策金利見通し(ドットチャート)では2025年末のFF金利水準が3.875%と前回(9月時点)の3.375%から上方修正された。
(5):FRB議長会見
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はFOMC後の記者会見で「今回の行動により、政策金利をピーク時から100bp引き下げたことになり、現在の政策スタンスは顕著に景気抑制の度合いが弱まった」と指摘。それにより「さらなる金利変更を検討する際には、より慎重になるべき」との見解を示した。また、「インフレは依然として概ね順調に推移している」「インフレ目標を達成するためにさらなる労働市場の抑制が必要だとは思わない」「金利は中立水準に著しく近くなった」と述べた。その他、トランプ次期米大統領が掲げる関税政策に関しては「関税がインフレにどのような影響を与えるか議論している」「時間をかけて慎重に評価する必要がある」と語った。