総括
FX「年初安定。為替保護預金減少は国民の安心感か」トルコリラ見通し
(通貨2位、株価7位)
予想レンジ トルコリラ/円4.2-4.7
*年初は安定スタート
*リラ安定。KKM残高の減少、国民に安心感か
*失業率改善も賃上げでインフレ上昇、解雇要因にも
*11月鉱工業生産は改善
*トルコ中銀の基本姿勢は
*リラ円は10年連続の年足陰線だが、10年ぶりの対円下落率が一桁%台へ
*さらなる利下げを宣言、エルドアン大統領。利下げでリラは?
*12月消費者物価が低下
*政策金利を2.5%引き下げ、47.5%へ
*格付け会社の評価は改善
*5カ月連続で経常収支が黒字
*シリア問題も複雑、トルコ、米国、イスラエルが絡む
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
(年初は安定スタート)
2025年のリラは安定スタート。現在メキシコペソに次いで2位。3位の米ドルより若干強い。 株価指数(イスタンブール100)は年初来0.99%安。
10年国債利回りは乱高下し現在は28.25%。
(リラ安定。KKM残高の減少、国民に安心感か)
トルコの外貨保護預金制度(KKM)、による預金は、1月3日までの週に1兆1300億トルコリラから1兆1100億トルコリラに減少した。
シムシェキ財務大臣は、KKMの量が連続して減少したのはこれで72週目だと述べた。KKM残高は、2023年8月の最高値3.4兆リラから1.1兆リラに減少。
総預金に占めるKKMのシェアは26.2%から5.9%に減少した。
ドル化を逆転させ、リラの急落に対抗するために2021年後半に導入されたこの制度の下、中央銀行は減価償却費を負担することで預金を保護してきた。
しかし当局は、企業や個人にKKM口座の更新を思いとどまらせるなどして、段階的に廃止し、預金を通常のリラ口座に移行させようとしている。この制度は2025年に終了する。
シムシェキ財務大臣は、「我々はマクロ金融の安定性を強化し、トルコリラへの信頼を高める政策を継続する」と述べた。リラは2021年の急落以来、実質的に徐々に回復している。昨年は米ドルに対して約16.5%下落したが、これは2020年以降で最も小さい年間下落率だ。
(失業率改善も賃上げでインフレ上昇、解雇要因にも)
11月失業率は8.6%。10月の8.7%から0.1ポイント低下。
失業者数は10月から8万4000人減少し、307万人となった。男性の失業率は7%、女性は11.7%だった。
政府は2025年の最低賃金を30%引き上げ、月額2万2104トルコリラ(627ドル)とした。この引き上げ額は労働組合の要求には及ばなかったが、経済学者らは、政府がデインフレ目標を達成する決意を示していると指摘している。
政府は、最低賃金の水準は財政規律を維持し、インフレとの戦いを継続するために設定されたと述べた。労働組合は約70%の引き上げを要求していた。
大幅な賃上げは労働者の実質所得の減少の回復に役立っただろうが、企業の人件費を押し上げ、解雇につながる可能性もあった。
(11月鉱工業生産は改善)
11月鉱工業生産は前月比2.9%増、前年比1.5%増となった。
月間成長率は2023年3月以来の最高となり、年間上昇率は過去8か月間で最大の伸びとなった。
「外需の弱さとインフレの進行にもかかわらず、投資、雇用、生産、輸出を支援する政策のおかげで、わが国の経済は依然として堅調である」シムシェキ財務大臣は述べた。