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総括
FX「関税、利下げでもペソ4位、株価3位と健闘。冷静に対立するメキシコ」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.2-7.7
(通貨4位、株価3位)
(ポイント)
*関税圧力、利下げ示唆でもペソ4位、株価指数3位と健闘
*ただ具体的な関税発効は遅れている
*関税に関するメキシコの言い分は
*トランプ関税は米自動車に打撃
*景気は減速気味
*中銀総裁は利下げ示唆
*消費者物価は4%を下回る
*トランプ大統領はメキシコへの関税適用を1か月延期
*米国との経済対話が始まる
*シェインバウム大統領、外国投資誘致のため「ニアショアリング令」に署名
*2030年までにGDPトップ10入りが目標、大統領
*2024年の米国への貿易黒字は過去最高を記録
*S&Pがメキシコの財政運営を評価
*ペソ安に介入不要、メキシコ中銀ロドリゲス総裁
*司法制度の混乱続く、最高裁判事8名が同時に上院に辞表
*IMF成長見通し下方修正。メキシコ中銀、OECD、世銀に続く
(ペソ4位、株価が強い。トランプ圧力に屈せず)
ペソは今週、一時、年初来で円を抜いて7.56をつけたが、反落、現在7.47で対円0.93%安で12通貨中4位。対ドルで1.89%高で、トランプ大統領から関税などの圧力を受けながら対ドルでしっかりしてきた。株価(ボルサ指数)も米株より強く年初来9.39%高。10年国債利回りは10.247%(年初は10.83%)。
(メキシコだけでなく関税発効が遅れる米国)
トランプ大統領は2月1日からメキシコやカナダからの輸入品に25%の関税を課すと明らかにしたが、米墨首脳会談後、関税適用を1か月延期すると発言。昨日、トランプ大統領は相互関税に関する措置に署名したが、手続きは広範囲にわたるため、完了には数週間から数カ月を要する可能性がある。そのため発動の明確な日程は決まっていない。
関税は米国にも打撃を与えるので精査する時間がかかる。タリフマンの勢いはなくなってくるかもしれない。
(メキシコの言い分)
メキシコのエブラルド経済相はメキシコへの関税措置は「正当化されない」と反発した。「米国からの鉄鋼輸入量が米国への輸出量を上回っている」とも指摘しており、米国の最大の貿易相手国であるメキシコとの貿易を巡る対立が深まる可能性がある。エブラルド経済相は、2022年以降、メキシコから米国への鉄鋼製品の輸出は減少している一方、米国産の鉄鋼輸入は増えていると指摘した。
米国で使用される鉄鋼の約4分の1は輸入で、メキシコはカナダやブラジルと並ぶ主要供給国となっている。経済相は米国から輸入する鉄鋼やアルミに対して報復関税を課す方針かどうかは明らかにしなかったものの、メキシコが米鉄鋼製品の主要な輸出先になっていると強調した。
(トランプ関税は米自動車に打撃)
フォードのファーリーCEOはトランプ大統領の関税政策は、米国の自動車業界に「混乱」を引き起こしていると述べた。関税を課すと脅すことは、自動車業界に「多大なコストを追加し、大きな混乱を引き起こす」と述べた。 25%の関税は「壊滅的」であり、「米国の産業にかつて見たことのない波及効果をもたらす」と述べた。
フォードの株価も下落し年初来5.35%安、GMは10.14%安。
(景気は減速気味)
24年4Q・GDPの減速もあり、景気動向は思わしくない。12月鉱工業生産は前年比2.7%減少、前回は1.4%減少。
1月自動車輸出は前年比13.7%減少、前回も5.8%減少。
(1月消費者物価は4%を下回る)
1月の消費者物価は前年同月比3.59%と3カ月連続で低下し、2021年2月以来ほぼ4年ぶりの3%台だった。野菜や果物、航空運賃が低下し、中銀が目標の上限とする4%を下回った。コアインフレ率は3.66%で前回の3.65%とほぼ横ばい。