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総括
FX「リラは最弱、中銀は警戒論、リセッションでビジネス界が政府批判」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価15位)
予想レンジ トルコリラ/円3.9-4.4
*リラは最下位へ、株価も伸びず、金利は高止まり
*トルコのビジネス界が政府を批判し緊張感高まる
*小売りはまずまず、自動車生産販売は減少
*来週は4Q・GDPの発表、リセッションから抜け出せるか
*経常収支は2か月連続赤字
*外貨預金の比率は
*中銀総裁が警告=自動操縦状態ではない
*中銀、インフレ予想を21%から24%に上方修正
*フィッチは格付け位維持
*政策金利は予想通り2.5%利下げで45%へ
*さらなる利下げを宣言、エルドアン大統領
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
(通貨最弱、株価伸びず。金利は低下しきれず)
なかなか強くなれない。年初来で対円で5.43%安、対ドルで1.83%安。今年のドルの弱さの恩恵を受けていない。ここ数年も対ドルでは弱かったが、今年は弱い通貨仲間であった円が5年ぶりに強く、12通貨でトップを走っているのでダブルパンチでトルコが弱く、最弱通貨となっている。
株価も今年はひと頃の勢いがなくイスタンブール100指数は年初来0.06%高。
10年国債利回りは低下しきれず26.39%。
(小売りはまずまず、自動車生産販売は減少)
12月小売売上は前年比13.5%増、前月は16.6%増。情報通信機、家電の売上の伸びが前月より縮小した。
1月自動車生産、販売は減少した。前年比でそれぞれ2.8%減、13.9%減、前月は3.6%増、7.3%増であった。
(経常収支は2か月連続赤字)
24年6月から4か月連続で黒字だった経常収支は11月、12月と赤字に転じた。12月は46.5億ドルの赤字。
貿易収支と第一次所得収支の赤字拡大が影響した。インバウンド黒字31.4億ドルでは黒字を回復出来なかった。
(外貨預金の比率は)
トルコの全預金の約3分の1が外貨預金、これでも以前の半分以上が外貨預金であった頃と比べると改善しているが、リラ売り要因には変わりがない。
日本は全預金の約0.7%が外貨預金。日本がトルコ並みの外貨預金比率になれば通貨が10分の1の弱さになってしまうかもしれない。
(中銀総裁=自動操縦状態ではない)
トルコ中銀カラハン総裁は2月16日、現在の利下げサイクルにおけるリスクに対して「行動する用意がある」と語った。
中銀は昨年12月から段階的に金利を引き下げており、12月と1月には政策金利をそれぞれ2.5%引き下げた。
しかしカラハン総裁は今月初め、2回連続の利下げ後も中銀は「自動操縦状態ではない」と述べ、データに基づいて政策金利の変動を一時停止したり、その規模を変更したりできると述べた。
先進国、特に米国の金融政策をめぐる不確実性がトルコを含む新興市場国にもリスクをもたらしていると語った。「それは、中央銀行が非常に慎重に行動する必要があることを意味する」と述べた。「リスクが存在する理由は様々であり、我々は行動する準備ができている」
政策金利は12月まで8カ月間50%で据え置かれていたが、現在は45%となっており、先月のロイターの調査によると、年末までに30%に引き下げられると予想されている。