
総括
FX「介入金額公表とCPIに注目。政局騒乱は予断許さず」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価13位)
予想レンジ トルコリラ/円3.7-4.2
*金融市場、応急措置で下げ止まるが予断許さず
*今週の外貨準備の発表で介入金額を推測
*今週は消費者物価と製造業PMIもあり
*これまでの経済指標は底堅い
*野党は毎週の集会と経済ボイコットの強化を呼び掛け
*エルドアン大統領は政府の正当性を主張、野党のテロを非難
*米国の関税はトルコにも悪影響
*3月18日に大統領の政敵イスタンブール市長を逮捕
*イマモール市長が正式に党の次期大統領選の候補に
*リラは史上最安値更新、株価・債券も大波乱
*24年4QはG20で最も高い成長。25年も上方修正
*トルコの外貨預金比率は34.25%で高い
*リセッション抜け出す、2024年のGDP成長率は3.2%
*2025年は3%成長予想、EBRD、OECDは3.1%
*ビジネス界が政府を批判し拘束される
*財務相は正統派経済を貫くが、国民はまだリラを全面的に信頼せず
*中銀、インフレ予想を21%から24%に上方修正
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
*さらなる利下げを宣言、エルドアン大統領
(金融市場、応急措置で下げ止まるが予断許さず)
3月19日のイマモール・イスタンブール市長逮捕の日は大幅トリプル安となったが、財務省・中銀の対応は素早くさらなる暴落を避けることが出来た。ただリラ相場、株価、金利ともに逮捕前の水準には戻っていない。
リラは対円で年初来10.86%安、対ドルで6.99%安。イスタンブール100株価指数は1.74%安、10年国債利回りは31.33%
(今週の外貨準備の発表で介入金額を推測)
3月21日の外貨準備高は883.3億ドルで前週の970.7億ドルから87.4億ドル減少、3月19日のリラ買い外貨売りの介入に使われたのだろう。4月3日に3月28日の残高が発表される。
(今週は消費者物価と製造業PMIもあり)
3月製造業PMIの予想は48.8。2月は48.3。
3月消費者物価は前年同月比で38.9%上昇の予想、2月は39.05%上昇
3月卸売物価は24.9%上昇の予想、2月は25.21%上昇
(これまでの経済指標は底堅い)
政治は荒れているが、経済指標は底堅い。
3月経済信頼感指数は100.8。2月は99.2
2月失業率は8.2%。1月は8.4%
3月企業信頼感指数は104.1、2月は102.4
3月消費者信頼感指数は85.9、2月は82.1
(野党は毎週の集会と経済ボイコットの強化を呼び掛け)
トルコの反政府デモ参加者らは、主要野党指導者による週一回の集会の呼びかけ、経済ボイコットの拡大、路上での抗議を続けると決意した熱狂的な学生デモ参加者の高まりの中で、選択肢を検討している。
CHP党首オゼル氏は、投獄されているイスタンブール市長イマモール氏を支持する集会で、エルドアン大統領に近いとされる企業の商品やサービスのボイコットの呼びかけを拡大した。
こうした抗議活動には警察が頻繁に押し寄せ、イマモール氏が汚職容疑で明け方の強制捜査で逮捕されて以来、12日間で1,900人以上が拘束された。
(エルドアン大統領の言い分)
エルドアン大統領はボイコットに対する不快感を表明し、抗議運動はトルコ経済を弱体化させようとしていると非難した。「無責任なボイコットの呼びかけで貿易業者や破産した実業家を混乱させ、起業家を妨害しようとする無謀な政治家を信用しない」と述べた。
エルドアン大統領は、一連の抗議活動は「街頭テロ」に相当すると主張し、デモ参加者が警察を攻撃し公共の財産を破壊していると非難した。イマムオール氏の事件が法廷で審理される際、同氏が自由かつ公正な裁判を受けられないのではないかと懸念されている。
政府は同氏の逮捕は政治的動機によるものではないとして、トルコの裁判所は完全に政府から独立していると主張している。