こんにちは。

現在ZUU-ONLINEにて「富裕層のための保険講座」を連載しているNADです。普段はFP法人を経営し、主に富裕層の方向けのコンサルティングを担当しています。
前回は 富裕層のための保険講座vol2『主な生命保険とその特徴』 と題しまして、資産運用・防衛のために抑えておきたい各種保険商品の概要をお伝えしました。

日本の富裕層の方は、事業法人か医療法人のオーナーであるケースが多いので、今回の記事では、法人における保険加入方法とメリットについてお伝えします。

【参考】

相続・承継でお悩みの方必見!大事な家族へ財産を残すための保険の活用法
新時代の保険セールスとは?~“本物”に選ばれる保険営業マンの3つの共通点~
国内系生保VS外資系生保~各々の歴史と戦略の攻防を振り返ってみた~

【富裕層のための保険講座】

富裕層のための保険講座vol1『3大オーナーの生命保険と税金』
富裕層のための保険講座vol2『主な生命保険とその特徴』


◉法人加入の基本


生命保険の契約は法人も個人も基本的には変わりません。
しかしながら、個人での契約はあくまでも契約者本人またはその遺族に対する保障であるのに対して、法人契約はその保障する対象がより広く、そして多くなります。加えて、様々な効率化が可能であり、合理性やもっと言えば利益性をも追及されます。

それはとりもなおさず生命保険は法人の経営に大きな影響をもつ金融商品となるということです。
以下に目的別にその加入方法について述べていきます。


①節税対策


経営者であるならば誰もが会社の経営で得た利益というものは大切にしたいし、それが減ることに抵抗を持ちます。そして、そのためには年々売上げを上げ、利益を増やし続けて行かねばなりません。
しかし、それ以外に利益を減らさない方法も考えねばなりません。その一手段が節税でしょう。そして、生命保険はその節税対策として最も合法的かつ合理的にその目的を達成できるアイテムの一つではないでしょうか。

ここで逓増定期保険を使った節税方法を説明します。
まず、毎年の平均的な利益が1億円とします。その内利益を半分の5000万円にして節税をしようとするならば、利益の全て1億円を保険料として逓増定期保険に加入します。
そうすることにより支払保険料5000万円(損金処理)と後払い保険料(益金処理)となります。しかしながら、それは税の先送りでしかなく、貯まっている解約返戻金を利用して初めて節税という方法が完結します。

(ただし、後に税務調査が入って不認可される可能性は0ではありません。)


②役員退職金・弔慰金の準備


役員の退職金や弔慰金の準備も一方で節税対策になります。
一般的に活用される生命保険は逓増定期保険、長期平準定期保険、終身保険ということになるでしょう。いずれも死亡保険金や解約返戻金を利用するということでは変わりません。ただ、若干の利用方法に違いは出てきます。

逓増定期保険は比較的短期間(5年から10年)で解約返戻金の額がピークを迎えます。ですから社長を含む役員が高齢で退職時期も解約返戻金のピークに合った、早期の予定であることが条件になります。
一方、長期平準定期の場合は、加入年齢にもよりますがそのピークは逓増定期保険と比べ長い期間(10年〜30年)の経過が必要になります。

同じ死亡保障額でも長期平準定期保険の方が保険料金は安くなり、社長または役員が若いかピーク時に社長または役員として退職するであろうという予想のもとに契約するのが普通です。
なお、受取人を家族(遺族)にしておけば死亡すれば弔慰金となります。