③社長が万が一の時に対応
社長が死亡した場合遺族に対しては、会社の弔慰金がその役割を果たすことができます。
しかし、社長ともなると家族への保障だけでは足りません。借入金や買掛金という負債に対する保障も必要になってきますし、残された社員の生活保障をも考えなければなりません。例えば負債が5000万とするならば、その返済期間に応じた保険期間の社長を被保険者とした生命保険が必要になります。また、社員に対しては3ヶ月から12ヶ月分の給料に相当する金額を準備しておかなければなりません。
これについては社長の引退予定年齢に応じての生命保険の加入ということになります。この場合は一般的には通常の定期保険が、経費といった面でも合理的でしょう。
また、死亡ということではなくとも社長が入院すればその間に社長は就業できなくなります。中小零細であるほどその影響は大きいといえるでしょう。財務面に影響をきたすことは必至です。
このリスクヘッジとして、契約者を法人、被保険者を社長、給付金受取人を法人にした医療保険契約という方法があります。
入院日額20000円、手術入院給付金の20倍という契約に加入するとします。そして、会社の月間の売り上げが1000万円で原価550万円、営業費用200万円としますと総営業利益は250万円。総営業利益率は25%ということになります。そこで、社長が30日入院し、手術給付金40万円を受け取ったとすれば給付金の総額は100万円ということになります。これが会社に収入として入ってきます。
これは、総売上利益率25%ですから、社長は病室にいながら400万円売り上げたことと同じことになります。
④社員の福利厚生
従来の福利厚生と言えば保養所利用やいろいろな社員旅行というものが多かったのですが現在では、社員は健康維持・促進に関心がありそういったことに福利厚生もシフトしていっています。また、日本の年金制度に対しても、殆どの社員が大きな不安を感じています。
こういったことから、社員に対して医療保険であるとか退職金の積み立てに生命保険を活用している法人が多くなってきています。
医療保険はある程度の社員数が確保できるのならば団体医療保険が合理的ですし、退職金の積立ということであれば養老保険が一般的でしょう。養老保険の場合、社員各々に対して、死亡保障を家族(遺族)、定年を満期とした契約を結びます。そうすれば弔慰金も同時に準備できます。
また、養老保険は基本的に益金として会計処理されるのですが、社員全員加入(普遍的加入)ということにすれば半損処理が可能になるというメリットもあります。
以上、法人として保険を活用する方法とそのメリットをまとめました。
次回は富裕層の加入するべき保険についてお伝えする予定です。
【富裕層のための保険講座】
富裕層のための保険講座vol1『3大オーナーの生命保険と税金』
富裕層のための保険講座vol2『主な生命保険とその特徴』
富裕層のための保険講座vol3『法人における保険加入の方法とメリット』
富裕層のための保険講座vol4『事業と家族を守るために富裕層の加入すべき保険の考え方』
富裕層のための保険講座vol5『3大オーナーの一角、ドクター保険の世界』
富裕層のための保険講座vol6「個人年金保険の種類と活用方法」
富裕層のための保険講座vol7「同じような保障でも保険会社で違う保険料金の仕組み」
富裕層のための保険講座vol8「生命保険の加入(販売)チャネルの比較とまとめ」
富裕層のための保険講座vol9「超優秀な営業マンの見分け方」
富裕層のための保険講座vol10「生命保険会社と保険業界の明日を占う」
BY NAD