毎週木曜日に「富裕層のための保険講座」を連載しているNADです。普段はFP法人を経営し、主に富裕層の方達向けのコンサルティングを行っています。

今週は、医師の保険、つまりドクター保険についてお届けします。
医師と富裕層、一見違っているようですが、基本的に同じです。どのような職種であっても富裕層の人たちは、その仕事に対して一方ならぬアイデアとその実行力によりその富と地位とを築いてきました。

そのようなことは、医師、つまりドクターも全く同じです。彼らは常に病院・医院経営の合理化・効率化を考えています。また、患者から信頼され、看護師等の職員の教育をどのようにすればよいかということをも考えなければなりません。
そして、もう一つ大きな特色があります。それはドクターは医師家系が多いということです。3代4代続いているのもめずらしくありません。それだけに受け継いできた財産というのも莫大で、それを子孫に承継していかなければならないという使命があります。

こういった事情を考えた上で生命保険というものを考えていかなければなりません。
ではどのような生命保険を考えなければならないのでしょうか?

【参考】

相続・承継でお悩みの方必見!大事な家族へ財産を残すための保険の活用法
新時代の保険セールスとは?~“本物”に選ばれる保険営業マンの3つの共通点~
国内系生保VS外資系生保~各々の歴史と戦略の攻防を振り返ってみた~

【富裕層のための保険講座】

富裕層のための保険講座vol1『3大オーナーの生命保険と税金』
富裕層のための保険講座vol2『主な生命保険とその特徴』
富裕層のための保険講座vol3『法人における保険加入の方法とメリット』
富裕層のための保険講座vol4『事業と家族を守るために富裕層の加入すべき保険の考え方』


①死亡時の保障・相続対策


医師という職業は、開業や相続・事業継続にあたって多額の資金が必要になってきます。

資金の必要目的は、開業と、事業継続の場合でやや異なります。
開業の場合、土地や病・医院の建物や医療機器購入に資金が必要になります。
親からから引き継いだ財産でもって病・医院を経営していくとなったとしても、古くなった医療機器や建物の補修、建て替え等々と資金の借入が必要になってきます。特に医療機器は日進月歩の進化により、その金額はかなり大きな額となります。

●ドクターに万が一のことがあったとき

もし、この資金の借り入れを行ったドクターが死亡した場合、その借入金をドクターの持つ財産内でそれを賄えればいいのですがそうでなければ、家族がそれを負うことになります。借入金の額と期間に基づいた生命保険でのリスクヘッジが必要になってきます。

例えば借入金5億円で返済期間20年とすれば逓減保険(毎年保障額が減っていく保険)ということになります。これにより、ドクターが万が一の時の借入金の返済は可能になってきます。
それに加えドクターには遺族の保障、その中でも家族の生活費や子供の教育費がより切実に、そして多額に必要になってきます。この詳細は次項に書きます。

以上のようなことも踏まえ、相続ということに対してはより、生前から、より慎重にしなければなりません。

●ドクター相続で気を付けるべきこと

土地その他の財産についてもその価値を調査し、相続人が複数の場合その分割に対しての方法をも考慮しておかねばなりません。例えば、土地をドクターである長男にすべてを承継させるとなれば、他の相続人にはそれに代わる金融財産を分割させるという方法です。そのためには土地の評価額を死亡保険金の額とした生命保険に入っておけばよりスムーズな分割ができるでしょう。
また、財産をそっくり残すための防衛策として、相続税に見あう額の死亡保障が必要なことは当然のことです。終身保険や長期編準定期保険はこの要件を満たす保険だと思います。

そして、従業員の生活をも考えなければならばならないのは一般の会社の社長と同じです。3か月から12か月分の給料は準備しておかなければならないでしょう。医療関係者であることや、期間を考えると大きな金額です。この場合、法人であるならば、合計金額をドクター死亡保障とし受取人を法人にしておくことで賄うことが可能となってきます。