メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「ペソ4位へ浮上、米英貿易合意でリスク選好。追加利下げは?」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.2-7.7

(通貨4位、株価3位)

 (ポイント)
*ペソは年初来4位へ上昇、米英貿易協定合意でリスク選好
*リセッションは免れるも低成長、指標は引き続き弱い
*4月消費者物価、インフレ上昇も不確実性の中で追加利下げか
*関税問題ではUSMCA協定で免税部分がある
*郷里送金はやや増加
*6月1日に昨年ペソを急落させた要因となった裁判官選挙が実施される
*IMFが成長見通し下方修正、シェインバウム大統領が反論
*公的債務は6年ぶりの高水準(前政権の遺産)
*フィッチが投資適格級を維持、好悪材料併記
*S&P、フィッチが現大統領のメキシコの財政運営を評価

(ペソは年初来4位へ上昇、米英貿易協定合意でリスク選好)
 ペソは年初来12通貨中4位へ浮上。年初来対円で1.06%安と3位の円に迫って来た。米英貿易協定合意となりリスク選好の円安ペソ高が進んだ。ボルサ株価指数は年初来14.85%高。10年国債利回りは9.67%。

(リセッションは免れるも低成長)
 注目の1Q・GDPは前期比0.2%。農業と漁業、鉱業を含む第一次産業が8.1%伸びたことが全体を押し上げた。24年4Q・GDPは0.6%減少だった。リセッションを回避した。しかし国内経済の不確実性の高まり、逼迫した金融情勢、米国との貿易戦争による継続的なリスクは残る。
製造業は0.3%減り、サービス業は横ばい。今回の結果で中銀は経済の健全性に対する懸念を高め、5月の金融政策会合で0.5%の追加利下げを決めると予想されている。

 4月製造業PMIは44.8で前月の46.5から悪化、4月企業信頼感指数は48.5で前月の49.7から悪化した。

(4月消費者物価、インフレ上昇も不確実性の中で追加利下げか)
 4月消費者物価は前年比で3.93%上昇、予想は3.9%上昇、前月は3.8%上昇。コアは3.93%、予想は3.92%。
 年間インフレ率は中銀の目標範囲内(3%±1%)にとどまった。
次回の中銀政策会合は5月15日、インフレが抑制され世界情勢が大幅に悪化しないと仮定して、さらに0.5%の利下げが予想されている。
 米国の関税や世界貿易の不確実性によって悪化した国内の見通しの弱さが、さらなる金融緩和の必要性を強めている。
コアインフレ率が大幅に上昇しない限り、中銀には慎重な利下げ計画を継続する余地が十分にあるとされている。

(メキシコ大統領、貿易赤字削減に向けたトランプ大統領との電話会談を称賛)
シェインバウム大統領は、トランプ大統領との6回目の電話会談を「前向きなもの」と評し、両政権が両国の貿易条件の改善に取り組んでいると述べた。自動車部品関税の対象から米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)適合品を除外した米政府の発表を「素晴らしいニュースだ」と歓迎した。米国の自動車部品輸入に占めるメキシコの割合は約4割に達している。
メキシコ政府はトランプ政権が発動させた鉄鋼・アルミニウム関税でも優遇措置を求めている。

(郷里送金)
 2025年1〜3月の米国など海外からのドル送金額が142.7億ドルと前年同期比で1.3%増加。トランプ大統領による関税表明でインフレ不安が高まり、米国に住む出稼ぎ労働者が郷里送金を増やした可能性がある。3月単月のメキシコへの送金額は51.5億ドル(前年同月比2.7%増)と、3月の水準としては2番目に多い額で、25年に入って初めて50億ドルの大台を超えた。