代わってイオンが「盟主」の座を固める
構造改革に追われるセブン&アイに代わって、今や業界の盟主といえるのがイオンだ。総合スーパー、食品スーパーの踏ん張りに加え、金融事業、SC(ショッピングセンター)事業が好調で、2025年2月期決算で連結売上高は初めて10兆円を超えた。
売上高はセブン&アイにまだ2兆円近く及ばないが、セブンがコンビニ事業への集中で総合小売業の看板を下ろすことで、逆転が近い。すなわち、「イオン1強」時代の到来だ。
イオンはこれまで積極的なM&Aで勢力圏を拡大してきた。実際、傘下のスーパー事業だけみても、そうそうたる顔ぶれが並ぶ。
その1つはかつて小売業の王者といわれたダイエー。1970年代初め、三越(現三越伊勢丹ホールディングス)を抜き、長らく小売業の売上高トップに立っていたが、バブル崩壊後の経営危機に陥り、イオンが2013年に買収した。
上場子会社で関東地区の食品スーパーを束ねる共同持ち株会社「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」は2015年、マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の3社が統合して発足。昨年、いなげやが加わり、売上高1兆円体制となった。
中四国最大手の地域スーパーであるフジも、2021年にイオン傘下のマックスバリュ西日本との経営統合でグループ入りした。
その昔、ダイエーとマイカルを救済したイオン
スーパーの勢力図はバブル崩壊後、大きく変動した。ダイエーが凋落し、二番手、三番手につけていたイトーヨーカ堂(セブン&アイ発足は2005年)とイオン(2001年にジャスコから社名変更)の時代が到来。
セブン&アイは2000年代初め、結果的には裏目に出たが、西武・そごうを買収し、百貨店事業に参入。コンビニ事業では本家の米国セブン・イレブンを買収した。その後も米国で大型買収を繰り返し、コンビニ事業を収益源に育て上げた。
一方、イオンは本業のスーパー事業の基盤強化を優先しつつ、周辺事業を拡大。スーパー事業ではダイエーをはじめ、多くの企業を救済し、受け皿になった。
かつて業界4位で2001年に経営破綻したマイカル(旧ニチイ)の事業を引き取ったのもイオン。さらにさかのぼれば、上場子会社の一つ、マックスバリュ東海も1997年に破綻したヤオハン・ジャパンを母体とする。

文:M&A Online