NTTとSBIホールディングス(HD)が急接近――。両社は5月29日、資本業務提携を発表した。双方が培ってきたデジタル技術と金融サービスを融合させ、幅広い領域で協業関係の構築を目指す。
NTT、SBIHDに1100億円出資へ
NTTドコモが銀行業への参入に目的にネット銀行大手の住信SBIネット銀行の株式約65%を取得し、子会社化するのに合わせ、親会社のNTTがSBSHDの第三者割当増資を約1100億円で引き受け、8.18%を出資する運びとなった。
住信SBIネット銀には三井住友信託銀行とSBIHDが34.19%ずつ出資している。ドコモはTOB(株式公開買い付け)で一般株主が保有する株主を取得した後、SBIHDの保有分をすべて買い取る。一連の買収総額は約4200億円に上る。
携帯各社は強固な顧客基盤を生かし、傘下の銀行や証券会社を通じて金融サービスを展開しているが、ドコモはこれまで銀行を持たず、出遅れが指摘されていた。NTTはドコモを通じた銀行買収を機に、SBIHDと新たに協力関係を築き、グループ全体で金融事業の巻き返しを図る。
SBIHDは傘下に、ネット証券最大手のSBI証券をはじめ、SBI新生銀行(旧日本長期信用銀行)、保険持ち株会社のSBIインシュアランスグループなどを抱える。SBI新生銀行では約2300億円の公的資金の返済が重荷になっており、今回の資本提携や住信SBIネット銀の株式売却で得られる資金を返済原資に充てる方向だ。
「NOVA」親会社、学びエイドの筆頭株主に
学びエイドは、英会話教室「NOVA」運営のNOVAホールディングスを傘下に持つ投資会社のいなよしキャピタルパートナーズ(東京都品川区)の出資を受け入れる。いなよしキャピタルは第三者割当増資を5億6700万円で引き受け、学びエイドの株式33.4%を保有する筆頭株主となる。
学びエイドは学習塾向け授業映像の配信などを主力とし、2024年5月に東証グロース市場に上場した。今回、NOVAの英会話事業との相乗効果を見込む。
妊娠・育児アプリなどを提供するカラダノートは住友生命保険の出資(約3億円、所有割合9.72%)を受け入れることになった。住友生命が注力するヘルスケア関連での協業を進めるのが狙い。
スポーツ用品大手のゼットはアウトドア事業の強化を目的に、ミヤコ・スポーツ(東京都台東区)に出資することで基本合意した。ミヤコ・スポーツは1950年設立で、アウトドアを中心とするスポーツ用品卸の老舗。