トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「リラ相場小康は円安の影響。関税は。政治弾圧が懸念」トルコリラ見通し

(通貨最下位、株価14位)   
予想レンジ トルコリラ/円3.4-3.9

*米国の対トルコ関税率は未発表
*リラは年初来最弱通貨だが、このとろこ小康
*株価指数はプラス圏へ回復
*懸念は政府の野党への圧力が続いていること
*消費者物価、6月は減速、利下げ再開か
*トルコの飢餓基準が最低賃金を上回る
*世銀が成長見通しを上方修正
*貿易赤字が続く
*リラ安の主因=トルコの外貨預金*規格外のトリプル安続く
*政策金利46%に据え置き
*外貨保護制度からの脱却に向けて前進
*トルコ中銀と中国人民銀行、通貨スワップ協定を更新

(トルコリラなど現在位置)
 現在、年間では対円17.65%安、対ドル12.8%安、イスタンブール100株価指数は2.82%高、10年国債は31.5%。
 対円で5月以降、小康状態なのは円が海外投資増で円安が進んだからでトルコに良い材料があったわけではない。年初来17.65%安ということは、ほぼ半年分のトルコと日本との金利差である。

(トルコへの関税は未発表)
4月に発表された米国のトルコへの追加関税は10%。トルコ貿易ではトルコの赤字、米国の黒字なので、貿易不均衡是正を掲げるトランプ大統領の圧力は低い。

(消費者物価、6月は減速)
 6月の消費者物価は、前年同月比35.05%上昇に鈍化した。前月比では1.37%上昇だった。数カ月以内に利下げが行われるとの観測が強まっている。
予想は、前年比で35.2%、前月比で1.45%上昇。
中銀は昨年12月に金融緩和を開始したが、4月に利上げに転じていた。
3月に、エルドアン大統領の最大の政敵であるイスタンブールのイマモール市長が汚職容疑で収監されたことを受けて通貨リラの対ドル相場が過去最安値を記録。トルコの資産が圧迫され利上げに踏み込んでいた。

(政治圧力強まる)
 トルコ政府は主要野党指導者に対する捜査を開始し、さらに多くの野党系首長を逮捕した。政治弾圧の拡大は法の支配と政治的安定性へのリスクを巡って、投資家の不安を強める恐れがある。
 検察当局は7月6日、共和人民党(CHP)のオゼル党首に対する捜査を開始した。オゼル氏は3人の野党系首長の拘束を批判した演説の中で、エルドアン大統領を侮辱し、公務員を脅迫した疑いがあるという。

 これを受けて、トルコ・リラは3月の相場急落以降で初めて1ドル=40リラの心理的な節目を割り込んだ。

 オゼル氏はこのところエルドアン大統領への批判を強め、政府は「こそこそとしたクーデター」を仕掛けていると非難。エルドアン氏に対して11月に総選挙を実施するよう要求し、司法による弾圧が続けば大規模な抗議が起きるだろうと警告した。
 トルコでは野党弾圧が数カ月にわたって続き、野党メンバー数十人が既に拘束されている。