◉税金対策と資金対策
次は、先の経営権と資産の集中に絡む問題ですが、税金対策・資金対策をどうするかという問題が生じます。ここでは話を簡略化するため会社の経営権に関する株式に集中して問題点を指摘します。
後継者が経営権を把握するためには株式の集中化が必要なことは先に述べましたとおりです。そのため、いずれかの時点で株式を後継者が取得しなければなりません。この場合、経営者様や他の株主の方から株式の贈与を受けた場合、贈与税が発生するという問題があります(相続の場合もありえます。相続の場合は相続税です)。暦年課税制度という、手続き上は最も簡単な手続きをとってしまうと110万円を超えた部分について最高で50%もの税率がかかってしまうため、この贈与税が大きな負担となるという問題があります。
一方で、後継者が株式を買い取るとすれば、実質的に贈与とみなされないようにするために適正な価格で経営者様等から後継者に譲渡(売買)をしなければなりませんが、この場合には、後継者がどのようにして買取資金を調達するかという問題があります。つまり、人・モノに次ぐ「カネ」という問題が事業承継に関する第3のテーマとなります。
この問題に関しては経営承継円滑化法の利用が最もトレンドですが、会社の規模などによっては会社法や遺言制度をうまく活用することで解決することもできます。
◉法務手続きは専門家に、人選は社長様自ら
行政書士は許認可手続きや日常のちょっとした法務相談を通して会社様とお付き合いさせていただくことが多いため、事業承継を是非ともうまく進めて欲しいと願っています。ご相談を頂く際には必要に応じて様々な法務書面を作成し、税務に関することは税理士を招いて一緒に相談を受けるなど可能な限り法務手続き面においては尽力します。
しかし、後継者の人選だけは社長様自らなさっていただかなくてはなりません。日々の経営の中で「人」を一番把握しておられるのは社長様です。法務手続き上の悩みは「些細なこと」と感じられることであってもドンドン行政書士などを利用し聞いてください。
(実は「些細なこと」がその場で即答できないような重大な問題であることもあります。その際にはどのような専門家でも必ず調べてお答えを用意するはずです。)
そして、社長様は後継者の人選に最大の力を割いていただくことが事業承継という大事業の進め方のポイントとなります。
行政書士S.K
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