◉世界経済は長期的には安定して成長している


一方で、成長を世界レベルで見るとどうでしょうか。確かにバブルの崩壊時などは一時的に世界経済成長率がマイナスになりますが、長期で見れば、そのマイナスを上回る成長が起きています。

以下の図1は、IMFのWorld Economic Outlook(2011)より作成した1993年以降の世界経済成長率の推移を示しています。この20年だけを見てもアジア通貨危機(1997~)・ITバブルの崩壊(2001年)・世界金融危機(2007年~)の影響を受けて一時的にマイナス成長を記録していますが、それを含めても世界の実質経済成長率は1993年から2010年の実測値ベースでも平均で5%を上回っています。

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図1:世界の実質経済成長率の推移
出典:IMF, World Economic Outlook(2011)より筆者作成
注:2011年以降は予測値

勿論、株価についても基本的には経済成長に合わせて動いており、世界金融危機の発端となった米国における株価(ここではS&P500)も、2013年9月現時点で既にリーマンショック前のピーク時株価を上回っています。

参考: S&P500の10年チャート(Yahoo!ファイナンス)


◉ポイントは世界分散投資


上では米国株価を例にしましたが、グローバルマクロ投資には、米国など先進国の株式だけでは不十分です。これから相対的に新興国の経済力が強まってくるのが明らかである以上、先進国・新興国を含め、幅広く世界に分散投資する事が重要です。

下図2は、前述のIMFの資料よりGDPの内訳を含めた推移を示しています。これからも先進国が世界のGDPに占める割合が高い状態が続きますが、それでもBRICsやその他の新興国のシェアが長期的に増加していく事が多くの研究で予測されており、株式に投資するにしても、これらのシェアの変化を意識したポートフォリオの組み換えが重要になります。

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図2:世界のGDPの内訳と推移
出典:IMF, World Economic Outlook(2011)より筆者作成
注:2011年以降は予測値


◉どうすればグローバルマクロ投資を実行出来るか


まず、手軽にある国や地域の経済に投資する手法としてインデックスファンドがあります。インデックスファンドとは、日経平均株価やS&P500指数、香港ハンセン株価指数など、各国の株価指数に連動する投資信託を指します。

通常の投資信託だけでなく、上場されているインデックスファンドも多数あるので、比較的少ない金額から近似的に当該国経済への分散投資を行う事が出来ます。日本からだと手軽に投資しにくい例(該当する国についてのインデックスファンドが日本で上場されていない等)もありますが、海外の証券口座の開設等を通して分散投資を行う事が可能です。

そこまで厳密に分散させなくても、主要な新興国株式指数の加重平均に連動するインデックスファンドなどもあるので、これらと先進国のインデックスファンドと組み合わせる事で、近似的なグローバルマクロ投資を実現する事が出来ます。基本的には、各国のGDPの世界シェアに合わせてポートフォリオを組み替えて行くのが基本的な戦略になると思います。

また、歴史的にバブルは起きるものと言っても過言ではないので、一時的なバブルには動じないような長期投資のスタンスも重要になります。この点で、爆発的なリターンは望めないものの、長期的には低リスクで比較的安定したリターンを得られるという点で、まとまった資金がある富裕層にはお勧め出来る投資法であるでしょう。

勿論、グローバルマクロ投資を行っているヘッジファンドに投資するのが一番手っ取り早いですが、その場合もポートフォリオの組み方などには注意しましょう。

BY 経済学修士号を取得後、株価推定の事業・研究を行っているT.T