一般的に富裕層の方ほど、ご子息、ご令嬢の教育に関心の深い方が多い。そしてだからこそ、ここ10年程の社会構造の変化で、今までの教育でこれからも通用するのか疑問や不安をお持ちの方もいるだろう。
たとえ資格を取っても、いい就職先があるかどうか分からない、または工学系の大学を出て就職しても、生涯勤務できるとは限らない等、それぞれの教育の分野で将来への不安は尽きない。
そこで日本ではまだあまり馴染みのない「リベラル・アーツ」という分野の学問を紹介しよう。オバマ大統領やヒラリー・クリントン氏、また、故スティーブ・ジョブス氏も在籍していたという、大学の学問である。
また本文の後半では、将来子どもたちが大人になって、世界で活躍するために最低限抑えておきたい教養などを紹介しよう。
「リベラル・アーツ・カレッジ」という種類の大学
リベラル・アーツ・カレッジは、全米に約130校あり、2013年では日本に12校ほど、中国では上海に1校創立された。今リベラル・アーツ・カレッジが注目されるのには、理由がある。
現在、世界は技術、医療、サービスにおいて成熟し、新しい技術やサービスを生むためには「革新」が必要だと言われている。しかしアメリカの政府高官や大学関係者は、専門知識の習得だけに専念させても、イノベーションは起きないことに気付き始めまたのだ。
そして無数の学問に触れながら、自分の人生にとって重要なものを生み出すプロセスが重要であると考えはじめた。
リベラル・アーツ・カレッジでは、歴史・政治・文学・美術・サイエンスなどを学び、創造性豊かな発想が生まれるように工夫されているのが特徴。この考え方は、日本においても注目されており、いくつかの大学で「教養学部」などの名称で広まっている。
また中国でも、従来の安価な労働力に頼った製造業から脱皮しようとしており、このリベラル・アーツの考え方が受け入れられはじめた。 ちなみにアメリカのリベラル・アーツ・カレッジは、学費が年間4~5万ドルと高く、大学院に進むことが前提。アメリカの歴代大統領の内12人、ここ10年のノーベル賞受賞者53人の内12人がリベラルアーツ出身である。
リベラル・アーツは古代ギリシャで、労働に従事しなくてもいい「自由な人間」が学ぶものだった。働くための技能を学ぶのでなく、根本的なものの考え方を学ぶ学問。こうして養われる教養の効果は、リベラル・アーツ・カレッジ出身者の活躍を見れば納得できると思う。
リベラル・アーツ・カレッジの一例
◯アメリカ
・ オクシデンタル大学
・ ウェルズリー大学
・ リード・カレッジ
・ ウェスリアン大学 など
◯日本
・ 国際教養大学
・ 国際基督教大学
・ 早稲田大学
・ 立命館アジア太平洋大学 など