原油価格の暴落が止まらず、指標となる米国産標準油種(WTI)の先物価格は週明け13日のニューヨーク原油先物相場で5年9か月ぶりの安値となる、1バレル当たり44ドル台まで値下がりした。これは、米ゴールドマン・サックスや仏ソシエテジェネラルが、原油安がさらに進むとの予測を発表したことが引き金になっている。
ゴールドマン・サックスのチーフ債券ストラテジスト、デイビッド・コスティン氏は12日、経済専門局CNBCの番組に出演し、「史上最高値を更新し続けていた米株価は、2月下旬に後退局面に突入する」と予測した。同氏は、「ファンドのマネージャーは、強気すぎる」との見解を表明し、「(今週から続々発表される)米企業の収益率は精彩を欠いたものになる可能性が大きく、2015年全体の市場の上げ幅は限られたものになる」と述べた。
米投資会社S&P キャピタルIQ による2014年10月‐12月期のS&P 500企業全体の業績予測は、7月‐9月期比で11.4%上昇と予想されていたものが、原油安のため4.6%上昇に引き下げられ、2014年通期予測も前年比11.5%上昇から、7.4%上昇に修正されている。
前述のコスティン氏の発言で最も注目されるのは、「米利上げは(市場の大方の予想である6月ではなく)9月になり、利上げ後は市場が下げていくだろう」とした部分だ。これに対し、アトランタ連銀のデニス・ロックハート総裁は12日、「利上げは夏ごろが望ましい」と言明し、ハト派とされるサンフランシスコ連銀のジョン・ウィリアムズ総裁も同日、「6月利上げの推測は妥当だ」と述べるなど、後ずれを始めた市場の弱気な利上げ予測と米連邦準備理事会(FRB)の強気さのギャップが浮き彫りになりつつある。