米国経済に飛び火する連鎖

FRBはほとんど気にしていないように見えるが、米国にもこの流れが飛び火する可能性が高まっている。それはシェールガス関連の開発費を捻出するためのジャンク債の下落で、年末一旦は収まってはいるが、既にシェールガス事業者で破綻するところも出てきており、この領域のハイイールド債がデフォルトを起こせば米国の金融市場はサブプライムローン規模の損失が広がる可能性があるとの指摘も出始めている。


ロシアに投資意欲を見せる中国

この危機的状況の中で絶好の対ロ投資機会と睨んでいるのが中国だ。実際にはルーブル安でロシア国内の購買力は著しく抑制される状況にあり、中国からのロシアへの製品輸出の勢いは削がれている。しかし、このチャンスは対ロシア投資には大きなチャンスと見ているようで、鉱産、エネルギー資源の輸入に加え、ロシアのインフラ建設投資にも好機を見ていることも事実のようだ。


サウジアラビア・アブドラ国王の死去で状況に変化も

こうした世界情勢には常に変化のファクターが伴うもので、1月23日にサウジアラビアのアブドラ国王が逝去し情勢が変わろうとしている。

アブドラ国王はサウジの中でも減産にもっとも否定的な存在であったことから、今回の死去でサウジの原油生産に対する考え方が変われば、確率は依然として極めて低いものの、いきなり減産となり石油価格の巻き返しが起こる可能性も出てきている。事実このニュースが報じられてからWTIの原油先物価格にも買いが集まり瞬間的に急騰を演じている。


ドイツはロシアを追い込めない

ウクライナ侵攻問題が顕在化してからもロシアに多額の直接投資を行っているドイツはいまひとつロシア制裁には積極的でなく、今回のロシアのデフォルト危機についても何もしないで傍観を決め込むのかどうかにも注目が集まっている。

デフレに苦しむEU圏にとっては、このタイミングでのロシアのデフォルトは一時的にせよ、きわめて余分な追加リスクになることは間違いなく、結果として放置しておけない状況に追い込まれる可能性もある。いずれにしてもデフォルトの核弾頭の発射スイッチはプーチンの手中にあり、水面下の駆け引きがどういうことになるのかが注目される。

(ZUU online)

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