1月22日のECB理事会において、大方の市場の予想通り、ECBは量的金融緩和に踏み切った。その大きな理由は景気低迷の継続で、デフレに陥る懸念が強まったことにあるが、さて、この量的金融緩和というのは通常の金融緩和とどのように異なるものなのだろうか。

米国に続き、日本、EUと先進主要国で軒並み行われたこの量的金融緩和とはどのようなものなのかを解説していく。


金融緩和を政策金利の調整だけで実現する政策金利

通常各国の中央銀行は政策の目安となる金利、つまり政策金利を上げたり下げたりすることで景気と物価の安定をはかる。景気が悪化すれば当然政策金利を下げることで金利負担を少なくすることによって景気刺激を行う。

しかし過去20年の日本の歴史をみても分るとおり、ゼロ金利といった金融緩和をしても景気は回復せず、デフレ状況も改善することはなかった。したがって中央銀行の政策としては金利を下げるだけでは不十分であり、さらに市場に対して有効な策がもとめられてきたのである。

ECBもこれまで景気低迷への対策として再三利下げを行ってきたが、現在の0.05%は限りなくゼロに近い状況で、これ以上金利で政策を打ち出すことは不可能な状態に陥っている。そこで金利の調節ではなく市中に供給する資金の量を増やして景気のてこ入れとデフレ対策を行おうとしているのが今回の量的金融緩和政策となるのだ。


ECBの量的金融緩和の枠組み

量的金融緩和は英語でQuantitative easingと呼ばれることから、一般的にはこれを略してQEと呼ばれる。ECBの量的金融緩和・QEの場合、ユーロ圏各国で国債を保有している銀行からECBが直接その国債を買取ることとし民間銀行に支払を行う。

民間銀行はその資金を利用して企業や個人に対して貸付を増加させ、結果として市場に資金が流通させることを目論んでいる。ECBの買取り国債の規模は2015年3月から2016年9月までの19ヶ月間毎月600億ユーロの予定で、総額でほぼ1兆ユーロ超の規模を予定している。


各国のQEの状況

米国ではリーマンショック後いち早くこのQEを実施し、結果とした2008年11月から2010年6月がQE1、2010年11月から2011年6月がQE2、そして2012年9月から2014値10月までがQE3と呼ばれるように計3回にわたる量的金融緩和政策を実施している。

結果として米国の株価はリーマンショック前を回復するとともに史上最高値を更新するほどの回復を見せ、直近では失業率も大幅に改善するなどプラスの側面が結果としてでている。