電力・ガスの完全自由化で競争激化 公共料金に選択肢余地あり?

1月13日、経済産業省で開催された、総合資源エネルギー調査会、第21回ガスシステム改革小委員会は、2017年に都市ガス小売全面自由化を含む報告書案を了承した 。エネルギー関連の改革に関しては、ガソリンや灯油などの石油製品については2001年に石油業法が廃止され、完全自由化されている。また、電気事業法の改正により2016年から、電力の小売完全自由化されることが決まっている。これらの流れから、都市ガスについても、小売完全自由化は避けられない情勢にあった。


電力会社の安全神話崩れる

かつては、電力会社とガス会社は独占企業だから、「倒産しないし、安定していて就職先としては最高」などと言われていた。証券業界でも電力株などは配当銘柄として安心で安全な投資先だとして、高齢者などにも人気があった。ところが、東日本大震災により、原子力発電所の安全性に問題があることが露呈し、東京電力は、莫大な損害により、一時は倒産の危機にまで追いやられた。株価も震災前は2,500円あったものが、今では500円前後まで下がっている 。

このように安全神話が崩れると同時に、電力やガス事業に対する構造的な問題も指摘されるようになっていった。つまり、独占による不透明な料金体制に疑問の目が向けられるようになったのである。具体的には、電力もガスも総括原価法という方式により料金が決まっている。総括原価法とは、簡単にいうと、かかった費用全てを原価として、それに一定の利益を上乗せして料金を決めるというものである。原価がいくらかかっても、確実に回収でき、かつ、利益が得られるしくみだ。しかも、原価の内訳は詳細にはわからないため、問題点を指摘すること自体難しいものとなっている。

さらに、エネルギー価格が高いことは、企業においては製品価格の面で国際競争力の低下になるし、個人においても消費に影響を及ぼすことなので、景気回復を進める上で、エネルギー改革は避けては通れない課題となっている。