(この記事は2015年1月19日に掲載されたものです。提供: Leeways Online )
経済環境の不確実性が増す中、将来の老後資金として公的年金だけをあてにする時代はとっくの昔に終わってしまったと言っても過言ではない。そうは言っても、バブル期のように年利5%などいった魅力ある定期預金商品は存在せず、単純に定期預金しただけでは雀の涙程度の金利しか付かないためあてにはできない。
定期預金よりも高い利回りで、株式投資や為替のような高リスクではなく、しかも継続的に収益が望める投資がある。それが不動産投資だ。ここでは不動産投資をはじめる前に最低限知っておきたい不動産投資の魅力、種類、そして注意点の3つを紹介する。
安定性が高く、所得税や相続税の節税効果も
不動産投資の魅力は、安定的かつ定期的な収入が得られることだ。特に老後の資金として検討されるなら、毎月現金で入ってくる収入は年金代わりにするには非常に魅力的といえよう。加えて、経済環境や立地条件などがはまれば、取得価格よりも高く売れる可能性もあり、その差額で利益を得ることも期待できる。
不動産の特徴は、株価や為替のように日々、大きく値動きをするものではないということだ。よほどインパクトのある経営事由でもなければ、短期間での急騰や急落はなく、長期間かけて緩やかに値動きする。これが、不動産投資は安定性が高いと言われる一番の理由である。
また、現物不動産投資には、節税対策としての魅力もある。マンションやアパートを経営する時にかかる各種経費や減価償却によって赤字になった場合、その赤字分を本業の収入と通算することで(損益通算といわれる)、結果的に所得税を抑えることが可能だ。
また、現物不動産投資の場合、相続税対策にも有効だ。取得物件は、通常、国税庁が発表する路線価や、市町村が計算する固定資産税評価額によって評価されるが、賃貸用不動産の場合は5割から8割程度減額して評価される。したがって、現金や株式で相続するよりも相続税を抑えられるのだ。
不動産投資には、大きく3つの種類がある
ただし、不動産投資といっても様々な種類がある。「現物不動産投資」、「小口化不動産投資」、そして「証券化不動産投資」の3つを紹介したい。
現物不動産投資とは、アパートやマンションといった不動産に対して自身で直接取得し、賃料収入を得るものだ。他と異なるのは、取得した不動産の直接の所有者になる、という点である。
次に、小口化不動産投資とは、複数の投資家が1つの不動産を保有する形態だ。例えば、ビルを1棟丸ごと購入しようとしても1人の個人では投資額が多額になる。そこで、1つの不動産を小口に分けて、投資金額に応じて持ち分を設定するというものだ。
最後に、証券化不動産投資とは、不動産の所有権を株式のような「証券」にしたものに投資しようというもの。分かりやすくいうと、多数の賃貸物件だけを保有している会社の株式を購入するようなものだ。プロが多数の物件を運用してそこから得られる利益を投資家に配当する形になる。
現物不動産投資や小口化不動産投資は空室リスクを抱え、テナントとのトラブル対応を行う必要が有るが、証券化不動産投資では配当だけもらい、わずらわしい対応が不要となるメリットがある。具体的には、オフィスビルや商業施設などに投資しているJ-REITと言われる不動産投資信託などがこれにあたる。
不動産投資をはじめる前に覚えておきたいこと
現物不動産や小口化不動産投資の注意点は、「空室リスク」である。テナントや入居者が長期間見つからなければ収益性が悪化する。これを防止するには、「空室リスクの少ない好立地の選択」や「管理会社が空室期間の賃料保証をしてくれるサブリース契約」が有効だ。
ただし、サブリース契約で投資家が得られるのは、一般的に賃料の80〜90%のため利回りが悪くなるので注意が必要だ。
また証券化不動産投資ではREITが発行している目論見書からポートフォリオ全体の利回りや築年数、物件所在エリア等のREITの特徴を把握してリスク評価を行う。
REITにもオフィス特化型や住宅特化型等特徴があるので、自分で投資をしたいアセットタイプを組み合わせることでリスク分散も可能だ。1つの指標としてREITの場合、毎年物件の築年数が古くなっていくが、全体の築年数を若く維持できているのは築浅物件の入れ替えがきちんと実行されている証拠であり力のあるREITと見て良いであろう。老後の大事な資金を投資する場合は、慎重にしたいところだ。
(提供: Leeways Online )
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