◉教育資金一括贈与制度の利用方法
信託銀行、都市銀行、地方銀行、証券会社など、教育資金信用信託を扱っている金融機関を調べて、口座を開設します。
教育資金の引き出しには領収書が必要になります。金融機関が対象となる教育費に該当するか領収書をチェックして保管し、税務署へ提出します。
教育資金を払い出す方法には、教育資金を立て替えて支払った後に、領収書を提出して払い出す立替払いと、口座から教育資金を払い出した後に、領収書を提出することも可能なその他の方法があります。金融機関によっては、直接学校などに振込みを行っています。払い出し方法は、口座の開設時に選択しますが、金融機関によって取り扱いが異なります。払い出し手数料の有無も金融機関によります。
立替払いの場合には、領収書の日付から1年以内に金融機関へ提出します。その他の方法の場合には、領収書に記載された日付の翌年の3月15日が提出期限です。領収書の提出がない場合には、課税対象となります。
◉教育資金一括贈与制度の注意点
受贈者である子や孫が30歳になったときに、口座に残金がある場合には、贈与税の課税対象となります。非課税で贈与するためには、必要な教育資金を見積して入金しておく必要があります。中途解約はできないため、祖父母側の生活設計に支障がでない金額に留めます。
子や孫1人につき、一金融機関で一口座しか開設できませんので、使い勝手のよい金融機関を選んで口座を開設することが大切です。
◉制度の上手な活用で相続税の節税を
教育資金一括贈与の非課税制度は、相続税の発生する富裕層にとっては、相続税の節税対策としても利用できます。今後、相続税の基礎控除額が下がると見られています。祖父母から孫1人当たり、最大で1500万円の贈与を非課税で行うことができますので、孫が4人いれば最大で6000万円、6人いれば最大で9000万円を贈与することができます。特に、祖父母が高齢で孫が小さい場合には、教育資金を必要になる都度贈与しようとしても、存命であるか不安があるため、有効な節税の手段となります。
なお注意点としまして、孫が複数人いる場合には、後の遺産相続トラブルを招かないように、公平に孫に贈与することを考慮し、制度を利用しましょう。
BY Y.U