スノーバレーで国家備蓄拠点に

伊藤さんは、こうした低温貯蔵施設が雪国に集まるようになれば、シリコンバレーならぬ「フードバレーもできる」という。

「オランダは豊富なガス田などを背景にフードバレーを目指しています。私たちも日本海側で採れた食料、あるいは大陸から運ばれた食料も雪国にストックすることで、電気に頼らない低コストのフードバレーが実現できる」

そもそも中東から石油を運び、それを電気に変えて、冷蔵するコストを考えれば、雪の冷熱コストは安い。

ほかにもデータセンターが集まれば、今後起こる東南海トラフ地震や首都直下地震への対策にもなる。さらにワクチンなど低温管理が必要な医薬品を備蓄することで、伝染病のパンデミックに備えることもできる。

伊藤さんはさらに雪国の「スノーグリッド」も提案する。

「高速道路などの除雪では雪を捨てていた。それを指定場所に集めて貯めるのです。そこに沿道の木々をチップ化して撒くと雪が残せる。チップは3年したら、堆肥として畑に撒く。そこで野菜や菜の花を作り、その菜の花から採った油で除雪車を動かす。一つの循環社会が生まれる。そこまでくれば、雪国の人も雪を厄介者とは言わなくなる。雪山が宝の山に見えるはず」

厄介者だった雪が雪国の暮らしを変えるだけでなく、国家のエネルギー戦略、さらには外交カードにもなりうる可能性が出てきたのだ。

技術シーズは揃った。あとはビッグピクチャーをどう描くか、だ。

(提供: BigLife21

(ZUU online 編集部)

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