自動運転を支える日本の部品技術

このような自動運転はこれからさまざまなものに取り入れられていくだろう。自動運転の精度にして日本は高い技術力をもっているが、特に貢献できるであろう分野を2つ見てみたい。1つは部品で、もう1つは人工衛星を活用した測位システムだ。

日本セラミック <6929> は赤外線センサーで世界の約6割のシェアを持っている。自動運転には周囲の状況を正確に知ることが欠かせないが、赤外線センサーは比較的近距離にあるものを検出するのに向いている。

ロボットの姿勢を検出するのに欠かせないジャイロセンサーでは、ローム <6963> や村田製作所 <6981> 、アルプス電気 <6770> など国内メーカーが強い。

一般財団法人マイクロマシンセンターの『平成23年度MEMS関連デバイス国内市場予測』によると、日本の電子部品メーカーの生産・販売金額は世界で4割以上のシェアを持っている。 MEMSとは、「Micro Electro Mechanical Systems」の略称で、一つの基板の上に、センサーやアクチュエーター、電子回路などを集積させたデバイスを差し、電子機器の微小化に貢献する技術としても注目されている。

ロボット分野での日系部品メーカーの力は大きい。人工衛星を使った位置測定でもその技術力を発揮し始めているのだ。


高精度ロボットの目になる準天頂衛星システム

ロボットが自分の位置を知るために、よく用いられるのがGNSS(全地球航法衛星システム)だ。地球上にロボットなど自身の位置を把握するために用いられてきたのはGPSで、同システムはアメリカが運用しているGNSSの一つだが、民間利用での精度は10メートル程度と言われている。また、高層ビルや山が多い所では、GPSの電波を受信しにくいということもある。

このGPSの精度を上げ、受信できる範囲を広げることができれば、自動運転の利便性も向上する。これらの問題解決のために、JAXAは2010年9月に準天頂衛星システムの初号機「みちびき」を打ち上げた。

準天頂衛星システムは、日本の上空にいる衛星を増やすことでGPSを補完し、精度と利用範囲を広げることを目的としている。2017年から2019年までに衛星3基を打ち上げ、合計4基体制で運用を開始するとしている。2010年に打ち上げられた初号機「みちびき」の実証実験では、誤差が0.8メートルとGPSよりも高い精度を実現している。

また、日立造船 <7004> でも準天頂衛星システムを利用した実験が行われており、2011年には、トラクターを数センチメートル単位で制御しながら、わだちの上を自動走行させる実験を成功させている。

計測機器等を販売する日本電計 <9908> は、 GNSS測量機の開発などを手がける測位衛星技術と業務提携している。また、自動運転技術を手がけるベンチャー企業のZMPと販売契約を結んでいる。これからの自動運転技術の需要を見込んだ動きだと思われる。

政府は2015年1月に、今後10年間で人工衛星をなど最大45基を打ち上げて、その情報を最大限に利用するとする新『宇宙基本計画」』を決定している。衛星を使ったシステムは、自動運転の精度にも大きく関わってくるだろう。

自動運転技術には、何より高い精度が求められる。部品や衛星測位システムの面で日本が持つ技術力は非常に高く、これからの成長が期待できる分野である。(ZUU online 編集部)

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