ETF(上場投資信託)をはじめてみたいという人や、もうすでにはじめているという人もたくさんおられるだろう。ここでは、野村證券でグローバル・マーケッツ本部ETFマーケティング・グループ長を務める塩田誠氏に、海外のETFについて、どのようなメリットがあるのかを聞いてみた。
― 海外ETF市場の現況と、個人投資家の海外ETF投資に対する動向などは、どのようになっていますか。
塩田: ETFは、投資信託という商品形式のもとで、インデックスへの投資を可能にした上場金融商品ですが、投資家にとって重要なのはリスク・リターンを生むインデックスの選択とその売買タイミングにあるのはいうまでもありません。
一方、インデックスの動きに追随するような商品をいかに作るかは、現在、インデックスの性質や取引所での価格形成などを考慮して、投資信託や債券など多様化しています。ゆえに、これらのインデックス型の上場商品を総称して、今ではETP(ExchangeTraded Products)と呼ぶのが一般的になりつつあります。
そのETPですが、日本を含め世界の取引所に約5300銘柄が上場しており、その資産残高は300兆円(2・66兆米ドル、1米ドル=115円で概算)を超えました。
ただ5300銘柄といっても、すべてが異なるインデックスを対象にするものではなく、同じインデックスを対象とする銘柄も多数ありますので、そこは割り引いて考える必要があります。
いずれにしても、世界各国の株式、債券、REIT(不動産投資信託)、コモディティや、最近ではバンクローンやMLPなど非上場の投資信託でも人気となっている金融商品を対象指数としたETFもあり、そのうえでレバレッジ型、インバース型などが加わり、ETFの多様性は爆発的ともいえる状況になっています。
では日本の個人投資家が、5300本にも及ぶ多種多様なETFにすぐに投資できるかというと、実はそうではありません。原則として金融庁への届け出が完了した銘柄でないと、個人投資家は売買することができないのです。
現在、日本の証券会社で取り扱われている海外ETFは、すでに届け出が行われたものであり、その総数は、正確な統計はありませんが300銘柄弱のようです。このような制限はありますが、リスク・リターンの異なるETFが100銘柄でもあれば、ポートフォリオを構築する際の母集団としては十分だと思います。