― では具体的に、個人投資家にとっての海外ETF投資のメリットとは、どういった点があげられるでしょうか。また、デメリットがあるとすれば、どのようなことが考えられますか。

塩田: 大きなメリットは、リスク・リターンの異なる多様なポートフォリオを自分の手で構築できることでしょう。

なにしろ、株価指数に連動するETFひとつとっても、上場株式のほとんどをカバーするものから、それを時価総額の規模の観点で、大型株、中型株、小型株などに区分した規模別指数に連動するETFがあったり、さらに消費、エネルギー、資本財などの業種に分類した株価指数、好配当銘柄に特化した指数など、さまざまな選択肢があり、組み合わせ方も、その配分比率も思うままです。

投資家の想像力を大いに刺激する素材であり、料理に例えると、肉、野菜、魚、香辛料など多様な食材に囲まれて、天下一品の料理を作るイメージです。一方、デメリットですが、そもそもETFの付加価値は、その対象指数の動きを見ながら、取引所で売買できることに求められます。

そのライブ感、躍動感こそが投資の魅力でもあり、投資の成果にもつながるわけですが、日本と同時間で動くアジア各国の取引所には、まだまだETFの種類が少ないのが現状です。

そこで通常は、米国上場ETFが投資対象になるわけですが、日米の時差のため売買タイミングを捉えた取引が難しいという点が、外国ETFのデメリットといえるでしょうか。ただし、それは機敏な取引を念頭にしたものであって、中長期で保有するのであれば特に問題はないと思います。

― NISAを利用して海外ETF投資を考えた場合、投資をする際のポイントなどを教えていただけますか。

塩田: NISA活用で考慮すべき点は、長期投資を志向するものであり、口座内での売買を想定していないこと、仕組みとして積み立て投資が可能かどうかといった点です。

長期投資という意味では、やはりインド、中国、タイ、マレーシアなどの新興国の株式や、さらにその先にあるアフリカや湾岸諸国などのフロンティア市場と呼ばれる国の株式に連動するETFが魅力的です。

新興国であれば、それらをパッケージにした指数もありますが、自分なりの相場観を持ち、数カ国のETFをバランスよく保有する方法も考えられます。

次に口座内での売買の点では、市場全体に投資するような時価総額型指数ETFではなく、好配当利回り銘柄、または簡単に真似できない技術や高い市場シェアを持った企業の銘柄など、特定のテーマに沿って銘柄入れ替えを行うような株価指数をチェックするのがよいでしょう。

このような指数に連動するETFは、指数それ自体の銘柄見直しによって、ETFが保有する銘柄にも入れ替えが生じます。すると「割高なものを売って、割安なものを買う」といった逆張り的な運用効果がETFのなかで実現し、その効果を間接的ながらNISA口座のなかで享受できる場合があります。

もしNISA口座で積み立て投資が可能であれば、ある程度、値動きが激しいETFでも投資対象となってきます。小型株指数に連動するETFやフロンティア市場のETFがそういったものですが、目先の価格下落の場面でも、多くの口数が買い付けでき、その後の上昇でリターンを得るケースがあります。

これは個別株式にも通じる手法ですが、ひとつの株式銘柄であると業績が回復しないまま株価が低迷を続けたり、最悪のケースでは倒産して株価がゼロになる場合もありますので注意が必要です。

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