デフレからの完全脱却まで、もう一息

企業活動の回復によりデフレ完全脱却を目指すアベノミクスの戦略に間違いはなく、2012年12月26日の安倍首相就任から2年半程度が経ち、構造的な内需低迷とデフレからの完全脱却へもう一息のところまでたどり着いていると考える。

このようなアベノミクスの戦略と本来無関係であった消費税率引き上げが昨年4月に実施され、政府・日銀の予想を大幅に上回る景気下押し圧力が、アベノミクスの効果を台無しにしてしまうリスクをはらんでいたが、なんとか日本経済は耐えることができたようだ。

企業のデレバレッジや弱いリスクテイク力の恒常化による需要不足が原因である構造的な内需低迷とデフレの克服に、需要を抑制する財政再建が寄与することはない。

消費税率引き上げは、社会保障と税の一体改革で決定されたもので、財政や社会保障制度に関する家計と企業の将来不安を和らげる効果、すなわち「安心効果」があり、消費や企業活動にはポジティブに働くというのが政府・日銀のロジックだった。

しかし、その「安心効果」はまったく確認できず、企業活動がまだ弱く、賃金上昇も限定的な中での消費税率引き上げは拙速だったと考えられる。

6月中に政府がまとめる財政健全化計画が財政を過度に緊縮にし、アベノミクスの効果をまた台無してしまうリスクにならないことを願う。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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