ピクテ投信

2015年5月15日、ピクテ投信投資顧問株式会社が「 ピクテ・メディア・ミーティング」を開催し、代表取締役社長の萩野琢英氏が実質マイナス金利下における資産運用ビジネスの考え方を語った。 「世界の運用ビジネスの規模は、2003年から3倍に拡大している。

運用戦略を、伝統的アクティブ(株式・世界株式・世界国際)、アクティブ・スペシャリスト(エマージング株、ハイ・イールド、バンクローン)、オータナティブ、パッシブ・ETF、ソリューション・LDIの5つに分けたうち、伝統的資産以外は資産規模が伸びており、特にパッシブ・ETFのシェアが拡大している」

ただし、運用戦略別、運用収入額での試算推移を見た際に、パッシブ・ETFについて「金額面では増加しているが、運用収入面では大して伸びていない」ことを指摘した。また、オペレーショナルリスクの観点から「 パッシブ・ETFは、 フィーを下げれば下げるほど、ちょっとしたミスでもフィーを吹き飛ばす」ことが起こり得ることした。

将来的に、「この分野にGoogleやAmazon.comやモーニングスターなどのファシリティを持った企業が参入してくれば、いずれフィーがゼロの時代が来る」 一方で、アクティブ・スペシャリストとオータナティブは運用収入が伸びていることを述べた。「よりアルファ(α)を取るために伝統的アクティブからパイを取っている」とのことだ。また、パフォーマンスだけでなく、リスク・リターンで見た各社のフィロソフィの比較をする重要性を述べた。


低金利の欧州ですすむ「αの分散」戦略

スイスとドイツのイールドカーブを例に、「1ヶ月ものはマイナス金利であるため銀行にキャッシュを積むとお金が取られてしまう。欧州では、これを何とか打開しようと商品開発が進んでいる」と説明した。「欧州では、2012年から2013年にかけて低リスクプロファイル型の商品・戦略開発が進んできた」

これに対し、日本は従前型のモダンポートフォリオを組んでおり、構造的な低金利に対抗した運用ができていないと指摘し、「モダンポートフォリオセオリーを忘れて、今ある資産をどうすればいいのか考え始める」ことの重要性を説いた。

また、低金利時代に、パッシブ運用で対抗する難しさも述べた。 欧州で進んでいる商品や戦略には、各資産配分の戦略が異なるように分散し、ひとつひとつのリスク合計よりも低リスクとなり、かつ高いリターンを得ることができるポートフォリオを組んでいるとのことだ。

「かつては、株式、債券の低相関に依存した運用が主流だったが、今後は株式や為替のベータリスク、債券のデュレーション、クレジットやイールドカーブ・リスク、オータナティブ、地域特性、運用戦略など様々な資産のリスクとその相関に着目、幅広く分散投資することで最適ポートフォリオを構築する時代になる」 実際の分散効果として、同社のピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド(愛称:クアトロ)を引き合いに、各投資ファンドのリスクとリスク低減効果を説明した。

クアトロが投資する各戦略のリスク加重平均(リスク期間2014年11月28日〜2015年2月27日)が6.6%(各ファンドの単純なリスク合計)に対して、投資する戦略間の相関(日次リターンの相関、リスク期間2014年11月28日〜2015年2月27日)から見たリスク低減効果は2.5%となり、4.1%の分散効果が得られることを説明しその有効性を説いた。

運用実績に関しては、2013年12月12日の設定来、リスク2.3%(年率)でリターン5.4%(年率)の実績で、リスク値は、同じ期間中の日本国債(2.2%、年率)とほぼ同じとのことだ。(ZUU online 編集部)

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