2つのコードを導入して企業のガバナンスを強化

政府の成長戦略の中でも特に注目されているのが、ガバナンス向上による株主価値の増加を狙った「スチュワードシップ・コード」と「コーポレートガバナンス・コード」の2つのコードからなるコーポレートガバナンス改革だ。

日本版「スチュワードシップ・コード」とは、2014年2月に金融庁から発表された「『責任ある機関投資家』の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~」を指し、機関投資家のあるべき姿を規定したガイダンスである。投資先企業の企業価値を向上させ、受益者のリターンを最大化するのが狙いで、日本版「スチュワードシップ・コード」は7つの原則で構成されている。

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具体的には、投資している企業に対し、受益者に成り代わって、経営をモニタリングし、対話を通じて企業の持続的成長を促していく。これまで安定株主として友好的であった機関投資家は、必要に応じて物言う株主へと変わっていくはずだ。金融庁によると、「スチュワードシップ・コード」の受け入れを表明した機関投資家は2014年6月で127機関、同年9月には160機関、同12月に175機関、15年3月には184機関にまで増加している。

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一方、「コーポレートガバナンス・コード」は企業の持続的な成長と中長期の企業価値向上を目的として、上場企業のあるべき姿を規定したガイダンスである。今年年3月、金融庁と東証を共同事務局とする有識者会議の結論として、その原案が公表された。東証の上場規則等の改正作業を経て今年6月から施行される。

原案では左にある5つの基本原則から構成されている。その中では、機関投資家や海外投資家の比率等も踏まえ、招集通知の英訳や議決権電子行使プラットフォームの利用を進めており、また、社外取締役の機能強化として、独立社外取締役の最低2名以上の選任なども掲げている。

この2つのコードの制定により、コードに沿った機関投資家そして上場企業の行動が進むことで、海外からの投資マネーの増加も見込まれている。

2014年10月には米議決権行使助言会社大手のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が、5年連続でROEが5%を下回る企業の取締役選任議案に反対を推奨する方針を明らかにするなど、企業を取り巻く環境は年々厳しくなってきている。しかし、成長戦略によるガバナンス改革も着々と進んでおり、日本企業は大きな転換期を迎えている

(記事提供: 投資家ネット『ジャパニーズ インベスター』

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