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(写真=PIXTA)


リフレの加速

このデフレ脱却宣言の後の世界はどうなるのだろうか。それは機関投資家にも、個人投資家にとっても気になる点である。

「そして四つ目のポイントは、デフレ脱却の実感後の世界です。2020年の東京オリンピックぐらいまでの期間のシナリオです。今後景気マーケットが膨らむ状況において、リフレは、思った以上に加速をしていくと思います。

その理由は、今後どれだけ景気が回復したり、株式市場が上昇したりしても、長期の実質金利、長期金利からインフレ期待を引いた長期の実質金利は、日銀が利上げをするまでずっとマイナスに留まると思うからです。景気が回復をして、デフレ脱却の実感が湧いてきても長期の実質金利がずっとマイナスに留まり続ければ、やはり景気マーケットを膨らますというリフレ過程は加速していくという形になっていくと思います」

この20年間の低迷の局面というのは、長期金利の方がトレンドとして名目GDPよりも高いということが一貫して挙げられる特徴である。

名目GDPというのは、経済、景気やマーケットを膨らます力で、金利というのは景気マーケットを抑制する力だ。マーケットにとって金利はリスクファクターだから、景気マーケットを抑制する力である。

「この20年間は、景気マーケットを抑制する力の方が膨張する力よりも大きい。いつでもブレーキがかかった、自動車で言えば、サイドブレーキを上げたままの状況です。景気が回復してもなかなかデフレ脱却、リフレというところまで行ききれませんでした。しかし今回は、リフレ政策によって、名目GDPは膨らんでいます。

そして金利の大きな部分が日銀によって抑制されていますので、名目GDPと長期金利のスプレッドがプラスになりました。日銀はしばらく利上げをしないでしょうから、あと2-3年はどうやらこのスプレッドは維持されそうです」

換言すれば、膨張する力の方が抑制する力よりも強くなったのがリフレだ。これが1年続けば、バブル以来の変化となる。バブルの時も同じような形になり、バブル経済が拡大していった。だが、もちろん前回のバブルのようにはならない。

「名目GDPの成長率の数値が全然違います。前回は8%ぐらいで、今回は3%ぐらいですから。ただし、リフレによる縮小均衡からリフレによる拡大均衡に変わったことは事実だと思いますから、足下の大きな変化として日本経済に現れてくるでしょう」

では、本当にこの先株が上がるのだろうか。

「名目GDP成長率と長期金利のスプレッドと日経平均の伸び率は緩やかな相関が確認できます。デフレの力が強くなっていくと、マーケットは膨らみやすいです。現在、日経平均は膨らみやすいかたちになって、これはリフレの形ですので、デフレ脱却後の、2020年ぐらいまでのマーケットの力というのは強くなると思います」

さらに、「今後2-3年で、日本は世界を驚かせる」と会田氏はいう。

「財政が急激に改善してくるからです。世界が日本に付けたレッテルというのは、いつ財政が破綻するか分からないというものですが、このレッテルが急激に剥がれていくと思います。

先程の名目GDPというのは、景気マーケットが膨らむ力であると共に、税収を膨らます力でもあります。金利は、景気マーケットを抑制する力であるとともに、政府にとってはコストです。これまでは税収を膨らます力よりもコストの方が上にあったということが言えるのです。または税収を膨らます力は名目GDPにマイナスでした。

であれば、財政が悪化するのは当たり前でではないですか。今は位置関係が逆転し、税収を膨らます力の方がコストよりも大きい。それならば、ロジカルに考えて、財政が改善するのは当たり前です。財政収支の変化は今年が4%の赤字で、昨年が6%の赤字なので、2%ポイント改善しました。

名目GDPと長期金利が財政収支よりも大きくなれば、財政収支は改善しやすいということが確認できます。実は財政が急激に改善をしていますので、この形があと3年ぐらい維持されれば、現状でもGDP対比5%ぐらいしか赤字がなくなってるので、年に1-2%でも財政収支が改善をしていけば、3年後ぐらいには財政収支黒字になってしまう可能性があると思います」

イメージは、17年4月の消費増税を実行後、それで景気が下振れしなかったらその時点で財政収支は黒字になっているということだ。

「ただこのぐらい改善してきますと逆に心配なのは、こんなに早く黒字化してしまったら、景気がおかしくなりはしないかということです。黒字化については全く心配をしていません」

今後のマーケットに非常に期待が持てる会田氏の見方が現実のものとなり、投資活動が活発化していくことを願いたい。(ZUU online 編集部)

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