サントリー,マスターズドリーム

(写真=プレスリリースより)

「醸造家が夢見た」「心が震えるほどにうまい」「世界のどこにもない」「半世紀以上受け継がれてきた想い」。

いささか仰々しいと思ってしまうほどのコピーが躍った「~ザ・プレミアム・モルツ~ マスターズドリーム」が売れている。その背景に「超高級ビール」というキーワードが見えてくる。

超高級ビール、イメージできますか?

1台1千万のスーパーカー、1本100万円する超高級ワイン。多くの人はこういった言葉を聞いて、なんとなくイメージできる。ところが、ことビールに関しては“超高級品”と言われてもピンとこないのではないだろうか。

かつてオーストラリアの「Nail Brewing」が発売した30本限定のビール「Antarctic Nail Ale」は、南極の氷を溶かした水を使用という話題性もあって1本1,850ドル(約225,000円)という高値を付けたことがある。また、日本でも栃木県にある那須高原ビールがリリースしている「ナインテイルドフォックス」シリーズは2014年モノの3,780円に始まり、1998年モノの12,420円までの高価格帯商品を多数ラインナップしている(売り切れも多数)。

存在するにはするものの、一部のビール好き向けという印象が強い「超高級ビール」市場。ここに「マスターズドリーム」を引っ提げ乗り込んできたのがサントリービールである。

上方修正と新工場での製造を発表

“スーパープレミアムクラス”という位置付けで3月に発売された「~ザ・プレミアム・モルツ~ マスターズドリーム」は、発売当初の70万ケースから約1.6倍の110万ケースに販売計画を上方修正。

また、飲食店での取り扱い店数も当初計画の2,000店を5月末に早々と達成したことから、1.5倍の3,000店にそれぞれ上方修正することに。これまでメインで製造していた利根川工場に加え、新たに京都ビール工場でも生産を開始すると発表した。

ギフトラインナップとして通常の3千円クラスや5千円クラスに加え、ビールギフトとしては業界初と想定される1万円クラスの発表もPRしていることから中元・歳暮商戦を大きく睨んでの発売だったが、これまでのところ個人消費者の自分用ビールとしてのアピールに成功している。