味わい以外のヒット理由

ヒットの理由はまず味にある。上質で深いコクが特長の希少な「ダイヤモンド麦芽」の使用は継続しながら、その麦芽の魅力を最大限に引き出すため、手間と時間がかかる煮沸工程を採用している。また、このビールを造るために新設備まで導入したという。

結果、香りが豊かでどっしりした味わいを実現。“多重奏で、濃密”とPRする通りのしっかり骨のあるビールに仕上がった。旗艦店としてオープンした、丸の内の「マスターズドリームハウス(MASTER'S DREAM HOUSE)」で飲める樽生の評価もすこぶる高い。

すでに「ザ・プレミアム・モルツ」をプレミアムビールとして発表していることもあり、今回の「~ザ・プレミアム・モルツ~ マスターズドリーム」を“スーパープレミアムクラス”と位置付けたところにもヒットの理由がある。冒頭でも紹介したように多くの人にとって、超高級ビールは身近なものではなかったからだ。

超高級ビールという空白域

先行するプレミアム・モルツに追随するように、アサヒの「スーパードライ ドライプレミアム」、キリンの「一番搾りプレミアム」が登場し、活況を呈しているプレミアムビール市場。だが、一方でいよいよコモディティ化してきた側面もある。

そこに、先行する者の利点を生かし「プレミアムのさらに上」とうまくポジショニングできた。これは、消費者が商品に手を出す大きな動機となった。しかも、“スーパープレミアムクラス”と銘打ちながら価格は300円台。高級志向層はもちろん、節約志向層の取り込みにも成功した結果が販売計画の上方修正につながった。

「ビール界のロールス・ロイス」というキャッチコピーを耳にしたことがあるだろうか。アメリカ・サンディエゴの高級クラフトビール「エール・スミス(ALESMITH)」にはそんな冠が付けられている。

国内で造られるビールにはまだ、質も価格も突き抜けた超高級ビールが存在していない。今後、日本でも超高級ビール市場がゆるやかに形成されていく可能性は十分あるが、「~ザ・プレミアム・モルツ~ マスターズドリーム」はその嚆矢としてビール史に名を刻むのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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